ISMS認証取得にかかる費用の目安はどのくらい?維持・更新費用やコンサルティング費用も解説

ISMS認証では、取得する際の費用だけでなく、維持・更新するための費用もかかります。

 

本記事では、ISMS認証の取得・維持・更新にかかる費用の目安と費用を抑えるポイントについて解説します。

 

1. ISMS認証取得にかかる費用の内訳

ISMS認証取得にかかる主な費用は以下の3つです。

  • 初回審査費用
  • コンサルティング費用
  • 内部費用

それぞれの費用について解説します。

 

■初回審査費用

初回審査では、組織の情報セキュリティ管理体制が国際基準に適合しているかどうかを評価します。初回審査の費用は、組織の規模や業種、審査の複雑さによって異なることが一般的です。

審査機関によって料金体系が異なるため、事前に複数の審査機関から見積もりを取得し、比較検討することをおすすめします。初回審査費用を抑えるためには、事前に内部での準備を徹底し、必要な文書や手続きが整っていることを確認しておくことが重要です。

また、審査員が遠方から来て現地審査を行う場合、公共交通機関の料金・タクシー代などの交通費やホテルの宿泊料金などの費用が発生する場合があります。

 

■コンサルティング費用

ISMS認証取得におけるコンサルティング費用は、企業が情報セキュリティマネジメントシステムを導入し、認証を得るためのサポートを受ける際に発生します。一般的に、コンサルタントは現状分析から始まり、リスクアセスメント、ポリシー策定、内部監査の準備までを支援します。

必ずしも必要な費用ではありませんが、ISMS認証取得後の維持や更新においてもコンサルタントの継続的なサポートが求められることが多く、利用することでトータルコストを抑えられる可能性があります。

 

■内部費用

ISMS認証取得における内部費用は、企業がISMS認証を取得するために社内で発生するコストを指します。具体的には、まず人件費が挙げられます。ISMSの運用には、情報セキュリティの専門知識を持つスタッフが必要です。既存の社員の業務負担が増加したり、新たに専門職を雇用する必要が生じたりすることもあります。また、教育と研修にかかる費用も重要です。社員がISMSの基準を理解し、適切に運用するためには、定期的な研修が必要不可欠です。さらに、ISMSの導入や維持には、システム改修やツール導入費も発生します。情報セキュリティ管理システムを効果的に運用するためには、専用のソフトウェアやハードウェアの導入が求められることが多いです。

 

 

2. ISMS認証の維持・更新にかかる費用

ISMS認証の維持・更新では、認証機関による維持審査と更新審査で費用が発生します。

維持審査は通常1年ごとに行われ、更新審査は3年ごとに実施されることが一般的です。

 

■維持審査費用

ISMS認証の維持審査費用は、認証機関による定期的な審査を受ける際に発生します。審査の頻度や企業の規模、業種によっても異なりますが、一般的には年間で数十万円から数百万円程度が必要とされます。維持審査では、情報セキュリティの管理体制が適切に運用されているかどうかが確認されます。維持審査費用は初回審査と比較すると低く抑えられる場合が多いですが、定期的な見直しや改善が求められるため、継続的な予算計画が重要です。

 

■更新審査費用

SMS認証の更新審査費用は、企業がISMS認証を維持するために必要な費用です。更新審査は3年ごとに行われ、初回審査と同様に厳密なチェックが行われます。更新審査では組織がISMSの要件を引き続き満たしているかどうかが評価され、費用は審査の規模や複雑さによって異なります。

 

 

3. ISMS認証取得にかかる費用の目安

ISMS認証取得にかかる費用は、企業の規模や業種、認証範囲によって異なりますが、一般的には数十万円から数百万円程度が目安となります。

 

ISMS認証取得にかかる費用の目安を把握することは、予算計画や資金調達において非常に重要です。特に中小企業にとっては、初期投資が大きな負担となることがあるため、事前に詳細な費用分析を行い、計画的に進めることが求められます。また、費用対効果を考慮し、どの部分に重点を置くかを見極めることも大切です。

 

 

4. ISMS認証の取得・維持・更新にかかるコンサルティング費用の相場

ISMS認証の取得・維持・更新にかかるコンサルティング費用の相場は、数十万円から数百万円が目安となります。コンサルティング費用は企業の規模や業種、既存の管理体制の成熟度により大きく異なるため、事前に見積もりを依頼することが重要です。中小企業の場合、相場は数十万円から数百万円が一般的ですが、大規模な企業ではさらに高額になることがあります。

コンサルティング費用が高額になる理由は、専門家の知識と経験を活用することで、認証取得プロセスをスムーズに進めることができるからです。自社内で対応する場合、専門知識の不足や手続きの複雑さから、時間と労力がかかることが多く、結果的にコストが増加する可能性があります。そのため、コンサルティングを利用することで、効率的に認証取得を目指す企業が増えています。

 

コンサルティング会社によっては、初期診断やギャップ分析、文書作成支援、内部監査のサポートなど多岐にわたるサービスを提供しています。

 

■自社対応とコンサルタントへ依頼する場合の比較

ISMS認証の取得・維持・更新において、自社で対応するかコンサルタントへ依頼するかの選択はそれぞれ異なるメリットとデメリットがあります。自社対応の場合、初期費用を抑えられる可能性がある一方で、専門知識や経験が不足していると、プロセスが長引いたり、結果的に追加費用が発生するリスクがあります。特に、内部リソースを多く割く必要があるため、人件費や教育・研修費用が増加することも考慮しなければなりません。

一方、コンサルタントへ依頼する場合では、専門家による効率的なサポートが期待でき、短期間での認証取得が可能になることが多いです。ただし、コンサルティング費用は高額になることが一般的であり、費用対効果をしっかりと見極める必要があります。

 

 

5. ISMS認証の取得・維持・更新にかかる内部費用

ISMS認証の取得・維持・更新にかかる内部費用の内訳は以下の3つです。

  • 人件費
  • 教育と研修にかかる費用
  • システム改修やツール導入費

それぞれの費用について解説します。

 

■人件費

ISMS認証を取得するためには、情報セキュリティマネジメントシステムの構築や内部監査の実施、改善活動など、専門的な知識とスキルを持つ人材が必要です。特に、ISMSの基準に従ったドキュメント作成やリスクアセスメントの実施には、多くの時間と労力がかかります。さらに、維持・更新における定期的な監査対応や、セキュリティインシデント発生時の対応準備も必要です。これらの業務を担当するスタッフの給与や教育費が積み重なると、企業の人件費は大きく膨らむ可能性があります。

 

■教育と研修にかかる費用

組織内での情報セキュリティ意識を高めるためには、従業員に対する教育プログラムの実施が求められます。さらに、定期的な研修を通じて最新のセキュリティ脅威に関する知識をアップデートすることも重要です。このような教育と研修には、外部講師を招いたセミナーやオンライン研修、教材の購入などの費用が発生します。

 

■システム改修やツール導入費

企業が情報セキュリティ管理システムの強化を図り、情報漏えいや不正アクセスを防ぐ体制を整えるためには、最新のセキュリティツールやソフトウェアを導入する必要があります。

中小企業では初期投資が大きく感じられることもありますが、長期的にはリスク管理や効率化に繋がるため、費用対効果を考慮することが重要です。クラウドサービスを活用することで、導入コストを抑えることも可能です。

 

 

6. ISMS認証の取得・維持・更新費用を抑えるポイント

ISMS認証の取得・維持・更新費用を抑えるポイントは以下の3つです。

  • 認証機関の選定
  • コンサルタントの選定
  • 助成金制度の活用

それぞれのポイントについて解説します。

 

■認証機関の選定

各認証機関は提供するサービスや料金体系が異なるため、比較検討が不可欠です。例えば、日本品質保証機構(JQA)やBSIなどの認証機関は、実績や提供するサポート内容に差があります。審査の質や対応スピードも異なるため、企業のニーズに合った機関を選ぶことが大切です。認証機関によっては特定の業界に特化したサービスを提供している場合もあり、業界特有の要件を満たすためのサポートが受けられます。事前に複数の認証機関から見積もりを取得し、詳細な比較を行うことで、最適な選択ができるでしょう。

 

■コンサルタントの選定

適切なコンサルタントを選ぶことで、無駄なコストを抑えつつ、効率的にプロセスを進められます。コンサルタントを選定する際には、実績を確認することが重要です。過去のプロジェクトでの成功事例や、業界特有の知識を持っているかどうかをチェックしましょう。また、コンサルタントの料金体系も重要なポイントです。固定費用か時間制かなど、契約形態を理解し、予算に合った選択をすることが求められます。さらに、コミュニケーションのしやすさも見逃せません。スムーズなやり取りができるかどうかは、プロジェクトの進行に大きく影響します。これらの点を考慮し、慎重に選定を進めることで、ISMS認証にかかる費用を抑えることができます。

 

■助成金制度の活用

日本国内では、中小企業を対象としたIT導入補助金やものづくり補助金など、情報セキュリティ対策を支援するための助成金がいくつか存在します。これらの制度を利用することで、ISMSの導入や運用にかかる初期費用やコンサルティング費用を軽減することが可能です。また、地方自治体によっては独自の助成金制度を設けている場合もあるため、地域ごとの情報をしっかりと調査することが重要となります。適切な助成金を活用することで、企業の負担を大幅に軽減し、持続可能な情報セキュリティ管理体制を構築することが可能です。助成金の申請には一定の要件や期限があるため、早めの準備と情報収集をおすすめします。

 

 

7. まとめ

今回は、ISMS認証の取得・維持・更新にかかる費用の目安と費用を抑えるポイントについて解説しました。ISMS認証取得には、初期費用から維持・更新費用まで多くの要素が関わります。これらの費用は企業の規模や業種によって異なるため、事前にしっかりとした計画が必要です。

 

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