「ITリテラシーってよく聞くけど、具体的に何を指すのだろうか」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
ITリテラシーは、IT技術が急速に進化する中で、業務をスムーズに進める上で重要なスキルです。セキュリティリスクを低下させるためにも、従業員のITリテラシー向上は欠かせません。
本記事では、ITリテラシーの概要から重要性、高める方法、注意点について詳しく解説します。
1. ITリテラシーとは
ITリテラシーとは、情報技術を理解し、効果的に活用する能力です。
ITリテラシーを高めることで、パソコンやスマートフォンを使った情報検索やデータの管理、オンラインコミュニケーションなどがスムーズに行えるようになります。
IT技術が急速に進化する中、業務でIT機器を活用する機会が増加しているため、ITリテラシーは業務において欠かせない要素となっています。
■デジタルリテラシーとの違い
ITリテラシーとよく混同されるのがデジタルリテラシーですが、両者には微妙な違いがあります。
デジタルリテラシーは、デジタル技術を活用して情報を効果的に取得、評価、活用する能力を指します。具体的には、インターネットを使って情報を検索したり、SNSで情報を発信したりする能力です。
一方、ITリテラシーは、情報技術全般の知識とその活用能力を指します。例えば、パソコンやスマートフォンの操作、ソフトウェアの使い方、ネットワークの基礎知識などが該当します。ITリテラシーが高いと業務で使用するツールを効率的に使いこなせるため、業務効率が向上するわけです。
このように、デジタルリテラシーは情報の取得や発信に焦点を当て、ITリテラシーは技術そのものの理解と活用に焦点を当てています。どちらも業務において重要なスキルですが、それぞれの目的や対象が異なるため、区別して理解することが大切です。
■ITリテラシーが低いとどうなる?
ITリテラシーが低いと、日常業務において効率が低下する可能性があります。例えば、基本的なITツールの操作が難しいと感じる場合、作業に時間がかかり、他の重要な業務に割く時間が減少するわけです。また、情報セキュリティの基礎的な知識が不足していると、ウイルス感染や情報漏えいといったセキュリティリスクが高まります。
2. ITリテラシーの重要性
企業においてITリテラシーが重視されている理由は以下の3つです。
- 業務効率化と生産性向上
- セキュリティリスクの軽減
- 企業競争力の強化
それぞれの理由について詳しく解説します。
■業務効率化と生産性向上
ITリテラシーを高めることで、業務に必要な情報を迅速に検索・活用できるようになります。例えば、データ分析ツールを使いこなせる人材は、膨大なデータから有益な情報を抽出し、業務改善に役立てることが可能です。また、日常的な業務で使用するソフトウェアやアプリケーションを効率よく活用できるため、作業時間を短縮できます。
さらに、ITリテラシーが高ければ、新しいITツールやシステムの導入時にもスムーズに適応できます。新しいシステムを導入するたびに戸惑ってしまうという悩みを抱える方も、ITリテラシーを高めることで問題が軽減されるわけです。結果として、業務全体の効率が向上し、企業の生産性も高まります。
■セキュリティリスクの軽減
現代社会では、情報漏えいやサイバー攻撃などのセキュリティリスクが日常的に発生しています。従業員のITリテラシーが低いと、個人情報や企業の機密情報を不正に利用したり、フィッシングメールに引っかかってしまったりするかもしれません。
ITリテラシーを高めることで、パスワードの管理方法を見直したり不審なメールを見分けたりするスキルを身に付けることができ、フィッシング詐欺やマルウェア感染といった被害を防ぐことが可能です。また、ITリテラシーが高い従業員が増えることで、セキュリティポリシーの遵守が徹底され、組織全体のセキュリティレベルが向上します。
■企業競争力の強化
従業員のITリテラシーが高いと、市場の変化に迅速に対応でき、競争力を維持しやすくなります。また、顧客のニーズを的確に把握し、それに応じたサービスや製品を提供することが可能です。さらに、ITを活用することで新たな市場を開拓し、売上を伸ばすこともできます。
3. ITリテラシーの種類
ITリテラシーは、大きく分けると以下の4つに分類されます。
- 情報基礎リテラシー
- コンピューターリテラシー
- インターネットリテラシー
- 情報セキュリティリテラシー
それぞれの種類について詳しく解説します。
■情報基礎リテラシー
情報基礎リテラシーとは、情報を正しく理解し、効果的に活用するための基本的な能力です。具体的には、情報の収集、評価、整理、発信するスキルを指します。例えば、インターネットで情報を検索する際には信頼性のある情報源を見極める力が求められますが、情報基礎リテラシーが欠けていると、誤った情報を信じてしまうリスクがあるわけです。
情報基礎リテラシーが重要な理由は、現代社会において情報が溢れているためです。ビジネスの現場では情報を基にした迅速な意思決定が求められることがあるため、正確な情報を素早く見つけ、必要に応じて活用する必要があります。
■コンピューターリテラシー
コンピューターリテラシーとは、コンピューターを効果的に利用するための基礎的な知識やスキルです。具体的には、コンピューターの基本操作やソフトウェアの利用、データの管理、トラブルシューティングの能力などを指します。
例えば、オフィスでの仕事では、ワードやエクセルなどの基本的なオフィスソフトの操作が求められます。コンピューターリテラシーを高めることで、文書作成やデータ分析、報告書の作成がスムーズに行えるようになるわけです。また、メールやスケジュール管理ソフトを使用して、効果的なコミュニケーションや時間管理も可能になります。
さらに、コンピューターリテラシーが高いと、コンピューターのトラブルが発生した際に自力で解決する力が身につきます。
■インターネットリテラシー
インターネットリテラシーとは、インターネットを正しく利用し、情報を適切に活用する能力を指します。インターネットは情報収集やコミュニケーションの重要な手段となっており、インターネットリテラシーは従業員にとっても欠かせないスキルです。インターネットリテラシーが高いと、信頼性のある情報を見分ける力が養われ、フェイクニュースや誤情報に惑わされることが少なくなります。一方、インターネットリテラシーが低いと、SNSでの炎上や誹謗中傷、情報漏えいのリスクが高まる可能性があります。
■情報セキュリティリテラシー
情報セキュリティリテラシーとは、情報の保護や管理に関する知識とスキルを持ち、適切に活用できる能力です。具体的には、パスワードの管理やウイルス対策、フィッシング詐欺の防止といった日常的なセキュリティ対策を理解し、実践できる能力を指します。
情報セキュリティリテラシーが不足していると、個人情報の漏えいや不正アクセスを招く恐れがあり、結果として大きな損害を被る可能性があります。
4. 従業員のITリテラシーを高める方法
従業員のITリテラシーを高める方法は以下の3つです。
- ITスキルの把握
- 継続的な教育の実施
- 資格取得支援
それぞれの方法について詳しく解説します。
■ITスキルの把握
従業員のITリテラシーを高めるには、どの程度のITスキルを持っているのかを、自己評価や第三者による評価によって正確に把握することが重要です。
自己評価では、メールソフトや文書作成ソフト、表計算ソフトなど、日常的に使用しているITツールやシステムの操作がどの程度できるかを確認します。第三者による評価としては、スキルチェックテストやアンケートを実施し、客観的な視点からITスキルを見極めることが可能です。
また、ITスキルの把握は、従業員だけでなく組織全体のITリテラシー向上にも寄与します。組織内でのスキルのギャップを明確にすることで、どの分野の教育やトレーニングが必要かを判断でき、効率的な教育を実施することが可能です。
■継続的な教育の実施
IT技術は日々進化しており、最新の技術やトレンドに対応するためには、継続的な教育が欠かせません。例えば、新しいソフトウェアやアプリケーションの使い方を身に付けさせることで、業務の効率化や生産性の向上が期待できるでしょう。
継続的な教育を実施するには、定期的な研修やセミナーの開催が効果的です。企業内での研修プログラムを整備し、従業員が新しい知識を吸収できる環境を整えることが求められます。また、eラーニングを活用することで、場所や時間に縛られずに教育を実施することが可能です。
■資格取得支援
企業が資格取得を支援することで、従業員は体系的にITの知識を深めることができ、自信を持って業務を行うことができるようになります。
資格取得支援は、従業員の成長だけでなく、企業にとっても大きな利点があります。従業員のスキル向上は、業務効率化や生産性向上に直結し、結果的に企業全体の競争力を高めることにつながります。
資格取得支援を行う際には、従業員のモチベーションを維持するための環境づくりが重要です。例えば、資格取得に成功した従業員に報奨金を提供したり、研修や模擬試験の機会を設けたりすることで、資格取得の意欲を高めることができます。また、資格取得を目指す従業員同士が情報交換できる場を提供するのも効果的です。
5. ITリテラシー向上に役立つ資格
■ITパスポート
ITパスポートは、ITに関する基本的な知識を持っていることを証明する、経済産業省認定の国家試験です。
情報処理技術者試験の一部ですが、IT技術者だけでなく事務職や営業職などさまざまな職種を対象としており、ITを活用する多くの企業で資格取得を推奨しています。
平均合格率は50%前後と難易度はそこまで高くないため、学習計画を立て、毎日少しずつ勉強することで、資格を取得することができるでしょう。
■基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、ITに関する基本的知識と技能を証明する、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施している国家試験です。
IT技術者向けの初歩的な資格ですが、コンピューターの仕組みやネットワーク、データベース、プログラミングといったITの基本的な概念から、情報セキュリティやプロジェクト管理に関する知識まで、幅広い分野が試験範囲に含まれているため、IT関連の基礎知識を幅広く学ぶことができます。
■IC3
IC3(アイシースリー)は、インターネットやコンピューターの基本的な知識とスキルを証明する、国際的な資格です。世界78か国で実施されており、日本では株式会社オデッセイコミュニケーションズが運営管理を行っています。
初心者から中級者まで幅広いレベルの方に対応しており、IT初心者でも基礎からしっかり学ぶことができます。
5. 従業員のITリテラシーを向上させる際の注意点
従業員のITリテラシーを向上させる際の注意点は以下の2つです。
- 教育にはコストと時間が必要
- 組織体制の見直しが必要
それぞれの注意点について詳しく解説します。
■教育にはコストと時間が必要
従業員のITリテラシーを向上させるには、専門的な教材や講師の確保にかかるコストと、学習のための時間が必要です。短期的なコストを惜しむと、長期的には企業の競争力や効率性に悪影響を及ぼすかもしれません。
IT教育には、教材の購入費用や講師への報酬、オンライン学習プラットフォームの利用料などのコストがかかります。一方で、ITリテラシーを高めることで得られる利益を考慮すれば、これらのコストは将来的に大きなリターンをもたらす可能性が高いです。
また、ITリテラシーを向上させるためには、従業員が日常業務を行いながら学習の時間を確保する必要があります。そのため、学習の進捗を定期的に確認し、必要に応じてサポートを提供する体制を構築することが重要です。
上記のようにITリテラシーの向上にはコストと時間が必要ですが、これを適切に管理することで、企業の成長と競争力の強化につながります。
■組織体制の見直しが必要
ITリテラシー向上の際には、組織体制の見直しが欠かせません。なぜなら、ITリテラシーを向上させるためには、個人の努力だけでなく、組織全体での取り組みが必要だからです。例えば、従業員が新しいITスキルを身に付けるには、学習時間を確保する必要があります。しかし、通常の業務に追われる中では、その時間を捻出するのは難しいかもしれません。そこで、企業として教育プログラムを導入し、計画的に学習時間を確保するわけです。
6. まとめ
今回は、ITリテラシーの概要から重要性、高める方法、注意点について詳しく解説しました。
従業員のITリテラシーを高めることは、情報活用能力を向上させ、効率的に情報を取り扱うために欠かせない要素です。本記事で解説したITリテラシーを高める方法や注意点を参考に、従業員のITリテラシー向上を目指しましょう。
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