個人の情報とは?定義や具体例を解説

個人情報の取り扱いに関する法律やルールは日々変化しているため、最新の情報を把握することが重要です。個人情報保護法における定義や、どのような情報が個人情報に該当するのかを理解することで、企業の信頼性向上につながるでしょう。

 

本記事では、個人の情報の定義や種類、具体例、扱う際の基本ルール、漏えい時の対策について解説します。

1. 個人の情報とは

個人の情報とは、個人情報保護法に基づいて保護されている、特定の個人を識別できる情報です。個人の情報には名前や住所、電話番号だけでなく、顔写真や指紋、オンライン上の識別子なども含まれます。個人情報の保護はプライバシーの確保や不正利用の防止に直結しており、現代社会において非常に重要な役割を果たしています。

 

個人情報が流出すると、なりすましや不正アクセス、詐欺行為の被害者となってしまうかもしれません。個人の信用が損なわれたり経済的な損失を被ったりする可能性があるため、個人の情報の適切な管理と保護が必要なわけです。

 

■個人情報保護法における定義

個人情報保護法における個人の情報とは、特定の個人を識別できる情報を指します。個人情報保護法では、氏名や住所、電話番号といった基本的な情報だけでなく、顔写真や生体情報、さらにはネット上の活動履歴なども個人の情報に含まれます。個人情報は、個人のプライバシーを守るために適切に扱われるべきものです。特に要配慮個人情報として定義される健康状態や思想信条に関する情報は、より慎重な取り扱いが求められます。個人情報保護法に基づき、情報を取得する際には目的を明確にし、本人の同意を得ることが基本ルールとなっています。個人の情報の保管や管理においても、適切なセキュリティ対策を講じることが重要です。

 

■個人情報が含まれる具体例

個人情報が含まれる具体例として、氏名や住所、電話番号などが挙げられます。これらは個人を特定できる情報として重要視されており、個人情報保護法ではその取り扱いに関して厳しい規制が設けられています。メールアドレスやクレジットカード番号も個人情報に該当し、これらが不正に利用されると財産的被害を引き起こす可能性があります。また、顔写真や生年月日なども個人情報として扱われ、これらが漏えいすることで個人のプライバシーが侵害されるリスクがあります。個人情報を適切に管理することは、企業や組織にとって重要な責務であり、情報漏えいを防ぐための対策が求められています。

 

 

2. 個人情報の種類

個人情報には、一般的な個人情報と、より慎重に取り扱うべき要配慮個人情報があります。これらの情報を正確に把握し、適切に管理することで、個人のプライバシーを保護し、信頼を築くことができます。

 

個人情報は、氏名や住所、電話番号など、特定の個人を識別できる情報を指します。一方、要配慮個人情報とは、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴など、特に慎重に取り扱うべき情報です。要配慮個人情報は他人に知られることで差別や不利益を被る可能性があるため、特別な配慮が求められます。

 

■要配慮個人情報とは

要配慮個人情報とは、個人情報の中でも特に慎重に取り扱うべき情報を指します。個人情報保護法によれば、要配慮個人情報には人種や信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、被害者の情報などが含まれます。要配慮個人情報は個人のプライバシーや差別の原因となり得るため、特別な配慮が求められます。要配慮個人情報を取り扱う際には、事前に本人の同意を得ることが法律で義務付けられており、その取得方法や管理方法も厳格に規定されています。

 

■個人データと保有個人データの違い

個人データは、コンピュータで処理される個人情報を指し、組織が一定期間保有する情報を含みます。一方、保有個人データは、事業者が開示や訂正、利用停止などの権利行使に応じる義務があるデータです。企業は個人の情報を取り扱う際、どの情報が開示請求の対象になるかを正確に把握する必要があります。

 

 

3. 個人情報を扱う際の基本ルール

情報を取得する際には、目的を明確にし、本人の同意を得ることが必須です。また、利用に関しては、取得時に示した目的の範囲内で行うことが求められます。データの保管・管理では、情報が漏えいしないように適切なセキュリティ対策を講じる必要があります。第三者に情報を提供する際も、本人の同意が必要であり、提供先の管理体制を確認することが重要です。

例えば、企業が顧客情報を扱う場合、情報取得時に利用目的を説明し、同意を得た上で、データベースに安全に保管しなければなりません。開示請求があった場合には、迅速かつ正確に対応することが求められます。以下で詳しく解説していきます。

 

■ 情報取得と利用の注意点

個人情報の取得と利用においては、適法かつ公正な手段で行わなければなりません。情報取得の際には、利用目的を明確にし、本人に通知または公表することが求められます。要配慮個人情報を扱う場合は、本人の同意を得ることが原則です。利用に関しては、収集した目的の範囲内で行うことが重要であり、目的外利用は厳禁です。また、情報の正確性を維持し、最新の状態に保つ努力が必要です。個人情報を第三者に提供する際は、本人の同意を得るか、法令に基づく場合に限られます。

 

■データ保管・管理のポイント

データ保管・管理においては、個人情報の安全性を確保することが最優先されます。情報を暗号化することで不正アクセスを防止したりアクセス権限を厳格に管理したりするなど、必要最低限の人のみが情報にアクセスできるようにすることが重要です。バックアップを定期的に行い、データの消失に備えることも忘れてはなりません。さらに、情報を保存する際には、物理的なセキュリティも考慮し、サーバールームの施錠や監視カメラの設置などを行います。

 

■第三者提供時のルール

個人情報を第三者に提供する際には、法律に基づく適切な手続きを経ることが求められます。個人情報保護法においては、提供の前に本人の同意を得ることが原則とされています。同意を得る際には、提供先の名称や目的、提供する情報の内容を明確に説明しなければなりません。また、提供先が海外の場合、個人情報の保護水準が日本と同等であることを確認することが重要です。さらに、提供した情報が不適切に利用されないよう、提供先との間で契約を結ぶことが推奨されます。契約には情報の取り扱い方法や漏えい防止策を盛り込み、定期的な監査を行うことで、情報の安全性を確保します。

 

■データ開示請求への対応

データ開示請求があった場合は、個人情報保護法に基づき、請求内容を確認し、開示する情報の範囲を明確化します。開示する情報が要配慮個人情報に該当する場合は、特に慎重な対応が必要です。情報の開示に際しては、正確性を確保し、誤った情報を提供しないよう注意します。また、開示請求に応じる際には、本人確認を徹底し、不正な請求を防止することも重要です。

 

 

4. 個人情報漏えい時の対応方法

個人情報の漏えいが発生すると、個人のプライバシーが侵害されるだけでなく、組織の信頼性も大きく損なわれる可能性があります。したがって、事前に対策を講じ、漏えいが発生した際には迅速に対応することが重要です。

また、漏えいの原因を特定し、再発防止策を講じることも欠かせません。原因の特定と影響範囲の確認を行い、必要に応じて被害者への通知や公的機関への報告を行います。

 

■ 要配慮情報の漏えい対策

要配慮情報の漏えいを防ぐためには、まず個人情報保護法に基づく適切な管理が求められます。要配慮情報とは、病歴や犯罪歴、社会的差別につながる情報など、特に慎重に取り扱うべき個人情報を指します。これらの情報が漏えいした場合、本人に重大な被害が及ぶ可能性があるため、企業や組織は漏えい防止策を徹底する必要があります。具体的には、情報のアクセス権を厳格に管理し、必要最低限の人のみが情報にアクセスできるようにすることが重要です。また、情報を取り扱う際には暗号化やパスワード管理を徹底し、外部からの不正アクセスを防ぐためのセキュリティ対策を強化することが求められます。さらに、定期的にセキュリティチェックを行い、漏えいのリスクを常に評価・改善する姿勢が大切です。

 

■ 財産的被害防止策

クレジットカード情報や銀行口座の詳細など、金銭に直接関わる情報は厳重に管理しなければなりません。パスワードの強化や定期的な変更、二要素認証の導入は基本的な対策として有効です。また、フィッシング詐欺やマルウェアによる情報漏えいを防ぐため、信頼できないメールやリンクを開かないように心がけましょう。万が一被害に遭った場合には、速やかにカード会社や金融機関に連絡し、被害を最小限に抑えるための措置を講じることが求められます。加えて、個人情報が漏えいした際の対応として、警察や消費者センターへの相談も検討し、法的なサポートを受けることも視野に入れてください。

 

■ 不正目的による漏えい防止

不正目的による漏えいを防止するためには、セキュリティ対策を強化することが重要です。具体的には、情報システムに対するアクセス制限や暗号化技術の導入が挙げられます。また、社員教育も欠かせません。従業員が個人の情報の重要性を理解し、適切な情報管理を行えるよう、定期的な研修を実施することが求められます。さらに、情報漏えいが発生した場合の対応マニュアルを整備し、迅速に対応できる体制を整えておくことが重要です。外部委託先の管理も徹底し、契約時には情報保護に関する条項を明確に定め、定期的な監査を行うことで、不正目的による漏えいを未然に防ぐことができます。

 

■ 大規模漏えい時の対応

大規模な個人情報漏えいが発生した場合、迅速かつ適切な対応が求められます。事態を把握し、どの範囲の個人の情報が漏えいしたのかを特定することが重要です。その後、個人情報保護委員会や警察などの関係機関に速やかに報告し、被害を最小限に抑えるための措置を講じます。被害者への通知も欠かせません。漏えいの詳細を説明し、被害者が取るべき行動を明確に伝えることが信頼回復の第一歩となります。また、漏えいの原因を徹底的に調査し、再発防止策を講じることも重要です。情報管理体制の見直しやセキュリティ対策の強化を図り、今後のリスクを低減させることが企業の信頼を維持する鍵となります。

 

 

5. 個人情報に関するよくある質問

■ 個人情報保護法の改正点

個人情報保護法は、個人の情報を適切に管理するために重要な法律です。2022年の改正では個人の情報の定義が拡大され、より多様なデータが保護対象となりました。また、個人データの第三者提供について、透明性を確保するための新たなルールが導入されています。たとえば、企業はデータを提供する際に、本人の同意を得るか、法令に基づく特定の条件を満たす必要があります。さらに、データの漏えいに対する罰則も強化され、違反した場合の罰金が増額されました。企業はこれまで以上に個人情報の管理体制を見直し、セキュリティ対策を強化しなくてはならなくなりました。改正点を理解し、適切に対応することで、個人情報の保護と信頼の構築が可能になります。

 

■ 個人情報に関する相談窓口

企業や団体が設置する相談窓口では、個人情報の適正な管理方法や、万が一の漏えい時の対応策についてのアドバイスを受けることができます。個人情報保護委員会も個人情報に関する相談や苦情を受け付ける機関であり、法令に基づく適切な対応を促しています。個人情報保護法に基づき、各組織は相談窓口を設置することが義務付けられており、これにより個人の情報が不適切に扱われることを防ぐ仕組みが整えられています。こうした窓口を活用することで、個人情報の安全性を確保し、安心して情報を提供できる環境が整います。個人情報の取り扱いに関する疑問がある場合は、まずは相談窓口に問い合わせることが推奨されます。

 

■ 個人情報保護委員会の役割

個人情報保護委員会は、日本における個人の情報保護の中核的な役割を担っています。この委員会は、個人情報の適切な取り扱いを促進し、個人情報保護法の遵守を監督するために設置されました。具体的には、個人情報の不適切な利用を防ぐためのガイドラインを策定し、企業や組織に対する監査や指導を行います。また、個人情報の漏えいが発生した場合には、迅速な対応を求めるとともに、再発防止策の提案を行います。さらに、個人情報に関する相談窓口を設置し、一般市民からの問い合わせや苦情に対応しています。これにより、個人情報の保護が確実に行われるよう、社会全体の意識向上を図っています。個人情報保護委員会の活動は、個人のプライバシーを守るだけでなく、情報社会の信頼性を高める重要な役割を果たしています。

 

 

6. まとめ

今回は、個人の情報の定義や種類、具体例、扱う際の基本ルール、漏えい時の対策について解説しました。

個人の情報とは、特定の個人を識別できる情報全般を指します。個人の情報には名前や住所、電話番号などが含まれ、日常生活やビジネスにおいて非常に重要な役割を果たしています。個人の情報の取り扱いにおいてはプライバシーの保護がますます求められる時代となっており、適切に扱うことが求められています。

 

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