セキュリティチェックシートとは?必要な理由や課題、記載する項目、回答してもらう負担を軽減する方法を解説

「セキュリティチェックシートとは何か」「セキュリティチェックシートはなぜ必要なのか」「セキュリティチェックシートに回答してもらう負担を軽減するにはどうすればよいのか」など、疑問に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか?


本記事では、セキュリティチェックシートの概要から必要な理由、課題、記載する項目、セキュリティチェックシートに回答してもらう負担を軽減する方法について解説します。

 

1. セキュリティチェックシートとは

セキュリティチェックシートとは、委託先や取引先、自社が使用するクラウドサービスを提供する企業のセキュリティ体制をチェックするために使用するシートです。


委託先から自社が作成したセキュリティチェックシートへ記入してもらうことで、自社と取引しても問題ない企業・サービスなのか、自社のセキュリティ基準・ポリシーを満たしているかをチェックします。


セキュリティチェックシートは、サプライチェーンなど他社との取引が多い企業や業務でクラウドサービスを利用する企業で利用されるケースが多いです。

 

 

■セキュリティチェックシートが必要な理由

セキュリティチェックシートが必要な理由は、自社が使用するクラウドサービスのセキュリティ体制が十分でなかった場合、クラウドサービス経由で自社の機密情報や個人情報が漏えいする恐れがあるからです。


2010年には、経済産業省がクラウドサービスレベルのチェックリストを作成・公開しています。

参考資料:クラウドサービスレベルのチェックリスト「経済産業省」


また、委託先とメールのやり取りをする場合や同じシステムを共有する場合、自社が強固なセキュリティ体制を構築していたとしても、委託先のセキュリティ体制に不備があれば、被害が発生する恐れがあります。


上記のように、自社ではなく他社を起因としたリスクの発生を予防するために、委託先にセキュリティチェックシートをもらい、委託先のセキュリティ体制に問題がないかをチェックします。

 

 

■セキュリティチェックシートの課題

セキュリティチェックシートの課題は以下の通りです。

  • チェック項目の多さによる作業負担
  • チェック結果の解釈が難しい
  • 効率的なチェックシートの作成が不可欠
  • 定期的な見直しと更新

 

セキュリティチェックにおける主な課題の一つは、チェック項目の多さによる作業負担です。企業が扱う情報やデータが多岐にわたるため、チェックリストも膨大になりがちです。このため、担当者に過度な負担がかかり、チェックの質が低下するリスクがあります。これに対処するためには、チェック項目を優先度に応じて整理することが重要です。優先度の高い項目から取り組むことで、効率的に時間と労力を節約できます。

 

次に、チェック結果の解釈が難しいという課題があります。セキュリティチェックの結果は技術的な専門知識を要することが多く、結果を正しく解釈するのに苦労することがあります。この問題を解決するためには、セキュリティ専門家の意見を取り入れることが有効です。専門家によるトレーニングやサポートを受けることで、担当者が結果を正しく理解し、適切な対応策を講じることが可能になります。

 

さらに、セキュリティチェックを実施する際には、効率的なチェックシートの作成が不可欠です。チェックシートは、組織の特性や業務内容に応じてカスタマイズする必要があります。標準的なテンプレートを使用するだけでなく、自社のニーズに合った項目を追加することで、より効果的なチェックが可能となります。

 

最後に、セキュリティチェックを行う上での注意点として、定期的な見直しと更新が挙げられます。セキュリティの脅威は日々進化しており、最新の情報に基づいたチェック項目の更新が求められます。これにより、常に最新のセキュリティ基準を満たすことができ、企業の安全性を高めることができます。

 

■セキュリティチェックシートの項目

セキュリティチェックシートの項目は利用するサービスや委託業務、業種等によっても様々で、それによってどのようなリスクが発生しうるか、という点から検討が必要です。

ここでは、参考までIPA 独立行政法人 情報処理推進機構が自社のセキュリティ確認のために提供している「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」の項目を紹介します。

  • 脆弱性対策について
  • ウィルス対策について
  • パスワード管理について
  • 機器の設定について
  • 情報収集について
  • 電子メールのルールについて
  • 無線LANのルールについて
  • Web利用のルールについて
  • バックアップのルールについて
  • 保管のルールについて
  • 持ち出しのルールについて
  • 事務所の安全管理について
  • 情報の安全な処分について
  • 守秘義務の周知について
  • 取引先管理について
  • 従業員教育について
  • 私物機器の利用について
  • 外部サービスの利用について
  • 事故への備えについて
  • ルールの整備について

参考資料:5分でできる!情報セキュリティ自社診断「IPA 独立行政法人 情報処理推進機構」

 

■セキュリティチェックの頻度

セキュリティチェックの頻度は、一般的に四半期ごとに一度の実施が推奨されています。ただし、企業の規模や業種によっては、毎月のチェックが必要となる場合もあります。金融機関や医療機関など、機密情報を多く扱う業種では、より頻繁なチェックが求められることが多いです。

 

また、新しいシステムの導入や既存システムの大規模なアップデートが行われた際には、直後にセキュリティチェックを実施することが重要です。このタイミングでチェックを行うことで、新たに生じたセキュリティの脆弱性を早期に発見し、修正することができます。

 

セキュリティチェックを効果的に行うためには、毎月のチェックリストの見直しも欠かせません。具体的には、使用しているセキュリティツールの更新状況を確認し、新しい脅威に対応できるようにしておくことが大切です。セキュリティツールの更新は、最新のウィルス定義ファイルやパッチを適用することで、最新の脅威に対抗する力を強化します。

 

社内にセキュリティチェックの専門的な知識を持つ人材が不足している場合、外部の専門家を活用することも考慮に入れるべきです。見落としがちな脆弱性を発見し、より強固なセキュリティ体制を構築することができます。

 

このように、定期的かつ計画的なセキュリティチェックを行うことで、企業や個人はサイバーセキュリティの脅威から自身を守ることができます。セキュリティチェックは、単なる形式的な作業ではなく、実際のリスクを軽減するための重要なステップです。したがって、日常業務の一部として、継続的に取り組むことが求められます。

 

 

2. セキュリティチェックシートに回答してもらう負担を軽減する方法

前述したようにセキュリティチェックシートへの回答は委託先の負担になっており、回答を依頼する企業にとっても時間や手間のかかる作業です。

委託先のセキュリティチェックをスムーズに進めるためには、自社が提供するセキュリティチェックシートを工夫する必要があります。


セキュリティチェックシートに回答してもらう負担を軽減する方法は以下の3つです。

  • 分かりやすい設問にする
  • 扱いやすい形式で作成する
  • 委託先に合わせたチェック内容にする

 

それぞれの方法について解説します。

 

 

■分かりやすい設問にする

セキュリティチェックシートに回答してもらう負担を軽減する方法の1つ目は、分かりやすい設問にすることです。


どのような意図の設問なのか分かりにくくなっている場合、設問への回答や意図の確認に時間がかかり、回答が後回しにされてしまう恐れがあります。


読み手によって受け取り方が異なるような表現は避け、分かりやすい表現を心掛けましょう。

また、補足等で説明をしておくことも有効です。

 

 

■扱いやすい形式で作成する

セキュリティチェックシートに回答してもらう負担を軽減する方法の2つ目は、扱いやすい形式で作成することです。


セキュリティチェックシートの形式によっては、ファイルを開くことが出来なかったり、ファイルを開くことを躊躇されてしまったりする恐れがあります。

見慣れない拡張子でセキュリティチェックシートが作成されていてファイルが開けない、マクロが有効になっていて回答ができない、といったケースがこれにあたります。


ファイルを開いてもらえなければそもそもセキュリティチェックシートに回答してもらうことはできないので、委託先にとって扱いやすい形式でセキュリティチェックシートを作成するようにしましょう。

 

 

■委託先に合わせたチェック内容にする

セキュリティチェックシートに回答してもらう負担を軽減する方法の3つ目は、委託先に合わせたチェック内容にすることです。


委託先にとって関係のない設問ばかりが並んでいると、セキュリティチェックシートへの回答を面倒に感じられてしまうかもしれません。


また、自社がセキュリティチェックシートへの回答内容を精査する際にも、関係のない設問が多いとチェックに時間と手間がかかります。


すべての委託先に対して同じセキュリティチェックシートを提供するのではなく、委託先にに合わせた設問にするようにしましょう。

 

 

3. まとめ

今回は、セキュリティチェックシートの概要から必要な理由、課題、記載する項目、セキュリティチェックシートに回答してもらう負担を軽減する方法について解説しました。

委託先のリスク管理には、委託先からセキュリティチェックシートへ回答してもらうことが欠かせません。


本記事で解説したセキュリティチェックシートに回答してもらう負担を軽減する方法を参考に、セキュリティチェックシートへの回答率を高めるようにしましょう。


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