トヨタ自動車、取引先の工場事故に伴う国内工場の稼働停止

今回は昨年のニュースではありますが、取引先での事故によって自社の事業の停止に至ってしまったケースについてご紹介をしていきます。

 

 

1. 取引先での工場事故による生産停止

トヨタ自動車は2023年10月17日、取引先である中央発条の藤岡工場での火災により、足回りに使うばね部品の調達に支障を来し、一部の車両生産を停止しました。影響を受けた工場は豊田市や愛知県などに点在し、最大8工場13ラインが停止、生産ラインの停止により「カローラ」や「プリウス」などの生産に支障が出ました。

中央発条によれば、火災はコイルばねを製造する工場の乾燥炉が爆発し発生しました。従業員の負傷は軽微でしたが、建屋の損傷が生じています。

 

 

2. 事故の概要と発生原因

中央発條は下記の通り事故の概要と発生原因を公表しています。

〈事故概要〉
発生日時: 10 月 16 日(月)12 時 15 分
発生工場: 愛知県豊田市深見町向イ洞 1071-1 藤岡工場 第4工場
事故内容: シャシばね塗装ライン内の乾燥炉での爆発
人的影響: 社員 2 名が軽傷(1名が病院受診、1名は社内医務室にて対応)
物的影響: 建屋:シャッター、窓枠など外壁、床面の一部が破損
設備:塗装工程の塗装前処理設備、塗料塗布設備、焼付乾燥炉が破損

中央発條株式会社 当社藤岡工場 第4工場事故に関するお知らせ(第3報)

 

〈発生原因〉
・通常、燃焼室のバーナーで作り出した熱を乾燥炉へ送り込んでいるが、燃焼室と乾燥炉の間を循環しているダクトのフィルターの目詰まりが起き(隣接エリアでの撤去工事で発生した粉塵の影響)、空気循環が悪化したことにより、熱が燃焼室内に閉じ込められ、高温異常が発生
・バーナー燃焼用の空気供給量を抑えたところ、燃焼室から不燃ガスが発生、乾燥炉内に流入・蓄積
・その後、炉内温度が下がり過ぎたため、バーナーへの空気供給量を増やした際、バーナーの火が強まり、炉内の不燃ガスに到達し引火・爆発

中央発條株式会社 当社藤岡工場 第4工場事故に関するお知らせ(第3報)

 

 

3. 取引先のリスクを管理して自社の事業継続力を強化

自社のリスク管理はできていても、複数ある取引先や委託先のリスク管理までは手を付けられていないという企業も多いのではないでしょうか。

もちろん自社のリスク管理は重要ですが、それだけでは取引先や委託先で起きる事故・トラブルには対処できません。

下記は自社の事業継続力強化のために行うべき対策です。

  1. リスクの把握と管理: 取引先や委託先からのリスクとしてどのようなものがあるかを把握し、対策を講じる。

  2. サプライチェーンの多様化: 単一のサプライヤーに依存せず、サプライチェーンを多様化し、リスクを分散する。

  3. 技術の革新: 生産ラインの自動化やデジタル化を推進し、人為的なミスや外部からの攻撃に対する防衛力を高める。

  4. 情報共有の促進: 社内外の関係者との情報共有を促進し、異常やリスクに早期に対処できる体制を整える。

  5. 継続的なトレーニングと教育: 従業員に対し、セキュリティ意識や災害対応のトレーニングを継続的に行い、リスクへの対処能力を向上させる。

 

取引先・委託先のリスク管理に関してお悩みの方は、ぜひ下記の委託先リスク管理ガイドをご覧ください。