BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは、自社の業務を外部に委託するアウトソーシングの1種です。自社のリソースをコア業務に集中させることができ、業務を効率化させることができます。
本記事では、BPOの概要からアウトソーシングとの違い、BPOを行うメリット、注意点、ポイントについて解説します。
1. BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは
BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは、自社の業務プロセス(Business Process)を一括して外部事業者へ委託することです。Business Process Outsourcingの頭文字を取ってBPOと呼ばれています。
■アウトソーシングとの違い
BPOとアウトソーシングの違いは、委託する業務の範囲です。
アウトソーシングでは自社の業務を委託しますが、委託する業務の範囲は特に限定されません。委託する業務の範囲に関わらず、外部事業者へ業務を委託することをアウトソーシングと言うわけです。
一方、BPOでは自社で行われる業務のうち、特定の業務に関わるプロセス全体を一括して委託します。外部事業者へ業務を委託するという意味においてはBPOもアウトソーシングも同じであり、BPOはアウトソーシングの1種だということです。
経理部門では、売上の管理から経費精算、仕訳、仕入管理、給与計算、決算書の作成などさまざまな業務が行われます。
たとえば、経費精算や給与計算など経理部門で行われる業務の一部だけを外部事業者へ委託する場合は、BPOではなくアウトソーシングです。一方、経理部門で行われる業務のすべてを委託する場合は、BPO及びアウトソーシングになります。
ただし、業務の一部だけを外部事業者へ委託することがアウトソーシングというわけではありません。あくまでもBPOはアウトソーシングの1種であり、特定の部門で行われる業務プロセスを一括して委託する場合にのみ、BPOと表現されるわけです。
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■BPO以外のアウトソーシングの種類
アウトソーシングには大きく分けると以下の3種類があります。
- BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)
- ITO(ITアウトソーシング)
- KPO(ナレッジプロセスアウトソーシング)
ITO(ITアウトソーシング)とは、システム開発や運用、ネットワーク管理、データセンターの運用など、自社の情報技術(IT)関連の業務を外部の専門業者に委託することです。ITアウトソーシングを活用することで、自社のIT環境を専門家に任せることができ、より効率的な運用が可能となります。
一方、ITOを導入する際には、適切なパートナー選びが重要です。信頼できる企業を選ぶことで、情報漏洩のリスクを低減し、安定したサービスを受けることができます。
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KPO(ナレッジプロセスアウトソーシング)とは、リサーチやデータ分析、戦略立案など、専門的な知識や高度な分析力を必要とする業務を外部に委託することです。
KPOと一般的なアウトソーシングの違いは、業務の専門性と付加価値の高さにあります。アウトソーシングは通常、定型的で繰り返し行われる業務を外部に委託することが多いですが、KPOはより高度で専門的な業務を委託します。
■BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)との違い
BPOとBPRの違いは、自社の業務プロセスにおける課題の解決に向けた手法です。
BPRは自社の業務プロセスを見直すことで業務プロセスにおける課題を解決しますが、BPOは自社の業務プロセスを一括して委託することで課題を解決します。
2. BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の対象となる主な業務
BPOで委託する業務は、人事や総務、経理、受付などのバックオフィス業務や自社が不得意とする業務、ノウハウがない業務など、売上や利益に直接結びつかないノンコア業務を委託する場合が多いです。ただし、ビジネスの形態によってはコア業務に対してBPOを行うケースもあり、ノンコア業務を一括して委託する場合だけがBPOというわけではありません。
たとえば、コンテンツを制作する企業の中には、自社スタッフが営業や人事、経理を行い、本来専門性が求められるコンテンツの制作に対してBPOを行うケースもあります。
■定型化しやすいノンコア業務
ノンコア業務とは、企業の主な利益を生む活動ではなく、日常的に繰り返される業務です。ノンコア業務は定型化しやすく、外部の専門業者に委託することで効率的に処理できます。例えば、データ入力や顧客対応のコールセンター業務、定期的な報告書の作成などがノンコア業務に該当します。
ノンコア業務のアウトソーシングは、企業の経営資源をより重要なコア業務に集中させるための有効な手段です。例えば、経理業務の一部を外部に委託することで、社内の人材を戦略的な財務分析に振り向けることができます。また、外部の専門業者は最新の技術やノウハウを持っているため、業務の質を向上させることが可能です。
■経理や人事などのバックオフィス業務
経理や人事などのバックオフィス業務は、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の対象として利用されることが多い業務です。バックオフィス業務は企業の運営に欠かせないものの、直接的に収益を生むわけではないため、外部に委託することでコア業務に集中できるメリットがあります。また、BPOでは専門性の高いプロフェッショナルが業務を担当するため、精度の高い業務運営が期待できます。
経理業務では日々の帳簿管理や決算処理、給与計算などが、採用活動や社会保険手続き、社員研修の運営などがBPOの対象となります。
■営業支援やマーケティング関連業務
営業支援やマーケティング関連業務は企業の売上向上や市場での競争力を高めるために欠かせないものですが、外部の専門家に委託することで効果を最大化できます。
具体的には、営業支援では顧客データの管理や分析、リードジェネレーション(見込み客の獲得)などがBPOの対象です。これらは、専門的なツールや技術を駆使して効率的に行う必要があり、BPOを活用することで最新の技術を取り入れやすくなります。
マーケティング関連業務では、広告キャンペーンの企画・運営、SEO対策、ソーシャルメディアの管理などがBPOの対象です。デジタルマーケティングの分野では最新のトレンドを追い続けることが求められるため、専門知識を持つ外部のサポートが大きな助けとなります。
3. BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の契約形態
■請負契約
請負契約は、特定の仕事を完成させることを目的とした契約形態です。業務の遂行方法やプロセスについては委託された企業が自由に決定できますが、成果物の納品や品質果に対して責任を負います。
請負契約のメリットは、業務の専門性を持つ企業に任せることで、質の高い成果物を得られることです。また、業務の進行管理から解放されるため、発注者は自社のコア業務に集中しやすくなります。一方で、業務の進行過程を直接管理できないため、成果物の品質が期待通りでない場合のリスクも考慮する必要があります。契約時には、成果物の具体的な仕様や納期を詳細に取り決めることが重要です。
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■委任契約
委任契約は、法律行為を委託する契約形態です。
委任契約では委託者が受託者に特定の業務を行うよう依頼しますが、その業務の結果に対する責任は求められません。ただし、受託者は業務の遂行に最善を尽くす義務があります。
弁護士への代理依頼や税理士の顧問契約では、委任契約の形態を取ることが多いです。
■準委任契約
準委任契約は、法律行為以外の事務処理を委託する契約形態です。準委任契約では業務の遂行に関して一定の裁量が委託先に与えられ、業務の遂行に誠実に努める義務があるものの、最終的な成果物の納品や品質を保証する責任は負いません。
準委任契約は、ITシステムの保守や運用、マーケティング戦略の立案など、成果が明確に数値化しにくい業務において効果的です。
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4. BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を行うメリット
BPOを行うメリットは以下の3つです。
- コア業務にリソースを集中できる
- 提供するサービスの幅を広げられる
- 固定費を削減できる
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
■コア業務にリソースを集中できる
BPOを行う1つ目のメリットは、コア業務にリソースを集中できることです。
事業を存続させるためには、売上や利益に直結するコア業務だけでなくノンコア業務も行う必要があります。しかし、ノンコア業務の担当者を多くすると、コア業務を担当する人材が少なくなってしまうこともあるでしょう。
BPOを行うことでノンコア業務の担当者を削減することができ、より多くの人材をコア業務に割り当てることができます。
■提供するサービスの幅を広げられる
BPOを行う2つ目のメリットは、提供するサービスの幅を広げられることです。
BPOでは自社の業務プロセスを一括して外部事業者へ委託するため、特定のサービスに関する専門的な知識・経験がある人材が不足している場合でも、自社サービスとして提供できるようになります。
たとえば、ホームページ制作に強みを持つ企業の場合、記事コンテンツ制作やWEB広告運用をBPOで対応することで、ホームページを制作するだけでなく総合的なホームページ運用サービスとして提供できるようになるわけです。
自社の強みを活かしつつ自社が不足している分野をBPOで補強できるため、人材の採用や教育コストを抑えて提供するサービスの幅を広げられるようになります。
■コストを削減できる
BPOを行う3つ目のメリットは、コストを削減できることです。
従業員を雇用する場合、人材を採用・教育する費用だけでなく人件費や社会保険料、福利厚生費、設備費などさまざまな固定費が発生します。
BPOにかかる費用は委託先に対して支払う変動費だけで、上記のような固定費は発生しません。
人件費としては従業員を雇用する場合よりBPOの方が高額になることもありますが、人件費を除いたさまざまなコストを含めると、トータルのコストは低くなります。
5. BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を行う際の注意点
BPOを行う際の注意点は以下の3つです。
- 業務の品質が低下する恐れがある
- 自社にノウハウが蓄積されない
- 機密情報や個人情報が漏えいする恐れがある
それぞれの注意点について詳しく解説します。
■業務の品質が低下する恐れがある
BPOを行う際の1つ目の注意点は、業務の品質が低下する恐れがあることです。
BPOでは自社の業務プロセスを一括して外部事業者へ委託するため、担当するスタッフへの教育や品質管理を直接行うわけではありません。
委託する外部事業者によっては、自社で行う業務と比べて業務の品質が低くなる可能性があるということです。
たとえば、コールセンターをBPOで対応している場合、自社の営業担当者の評判は良いのに、コールセンターの対応が悪いせいで自社のイメージが低下するかもしれません。
BPOを行う際には、委託する外部事業者の品質を確認しておきましょう。
■自社にノウハウが蓄積されない
BPOを行う際の2つ目の注意点は、自社にノウハウが蓄積されないことです。
BPOでは自社の業務プロセスを一括して外部事業者へ委託するため、委託する業務の実務だけでなく、業務の進め方や効率化、業務に関わるスキルなど、委託する業務に関するノウハウを自社従業員が身に付けることができません。
BPOを止めて自社で対応する場合には、ゼロから業務プロセスを構築する必要があります。
■機密情報や個人情報が漏えいする恐れがある
BPOを行う際の3つ目の注意点は、機密情報や個人情報が漏えいする恐れがあることです。
BPOでは外部事業者へ機密情報や個人情報を提供することもありますが、外部事業者から情報が漏えいしてしまう恐れがあります。
BPOを行う際には、誰がどの情報を扱うのか、どのように情報を管理するのかを確認しておきましょう。
6. BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を行う際のポイント
BPOを行う際のポイントは以下の3つです。
- 費用対効果を意識する
- どの業務を委託するべきなのかを検討する
- 委託先を管理する
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
■費用対効果を意識する
BPOを行う際の1つ目のポイントは、費用対効果を意識することです。
コスト削減を目的としてBPOを実施する場合、長期的な視点では費用対効果が低い場合があります。
従業員数が少ないスタートアップ企業の場合、人事・経理業務をBPOで対応することでコストを削減することができます。しかし、企業が成長して従業員が増加したり新たに支店を設置したりした場合、BPOだと発生する費用も膨れ上がります。
目先のコスト削減だけでなく、長期的な費用対効果を意識してBPOを行うことが重要です。
■どの業務を委託するべきなのかを検討する
BPOを行う際の2つ目のポイントは、どの業務を委託するべきなのかを検討することです。
専門性や独自性、品質が重視される業務をBPOで委託すると、競合他社との差別化ができず、競争力が低下する恐れがあります。どの業務がコア業務・ノンコア業務なのかは事業内容によって異なりますが、事業継続に大きな影響を与えることがないノンコア業務を委託することをおすすめします。
■委託先を管理する
BPOを行う際の3つ目のポイントは、委託先を管理することです。
委託元には委託先を監督する責任があり、委託先で情報漏えいが発生した場合でも、委託元がその責任を負うことになります。
また、委託先を経由した不正アクセスも増加しており、自社に損害が発生する恐れもあります。
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7. まとめ
今回は、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)について解説しました。
特定の部門で行われる業務プロセスを一括して委託するBPOでは、業務の一部だけを委託するアウトソーシングとは委託するメリットや注意点、ポイントが異なります。
BPOを行うかどうかを検討しているなら、本記事で解説したBPOを行うメリット、注意点、ポイントを参考に、業務の一部だけを委託した方が良いのか、BPOを実施した方が良いのかを検討しましょう。
また、BPOに限らず外部事業者へ業務を委託する場合、委託先管理を行うことが重要です。アトミテックでは、委託先リスク管理の手順をまとめた委託先リスク管理ガイドを公開しています。ぜひ自社の委託先管理の参考になさってください。





