請負契約・売買契約における契約不適合責任とは?責任や時効について解説

2020年4月の民法改正により、瑕疵担保責任から契約不適合責任へと名称が変更され、責任や時効が一部変更されました。

本記事では、請負契約・売買契約における契約不適合責任の概要や責任、時効について詳しく解説します。

1. 請負契約・売買契約における契約不適合責任とは

契約不適合責任とは、契約の内容に適合しない商品やサービスが提供された場合に、提供者に発生する責任です。主に、売買契約と請負契約の2種類で適用されます。

契約不適合責任は、契約内容が適切に履行されることを保証するための規定です。契約者は契約内容が具体的かつ明確であることを確認し、万が一不適合が発生した場合の対処法を事前に理解しておく必要があります。

たとえば請負契約においては、完成物が契約した内容の通りでない場合に問題となります。契約不適合責任を確認された場合、発注者は修理や代替品の提供を求めることが可能です。

 

■請負契約とは

請負契約とは、特定の仕事を完成させることを目的とし、請負者がその仕事を完成させる義務を負う契約のことです。主に、建設工事やソフトウェア開発などで使用されています。

請負契約では請負者は成果物の完成に責任を持ちますが、その成果物が契約の内容に適合していない場合、契約不適合責任が発生します。これは、成果物が契約で求められた品質や仕様に達していない場合に、請負者がその不備を是正する責任を負うことを指します。例えば、建物の設計図通りに完成していない場合や、ソフトウェアの機能が正常に動作しない場合などが考えられます。

 

■売買契約とは

売買契約とは、商品やサービスを売り手から買い手に引き渡すことを約束する契約のことです。売買契約は日常生活の中で最も一般的な契約形態であり、スーパーでの買い物やインターネットショッピングなど、様々な場面で行われています。

売買契約には、商品が契約に適合しているかどうかを確認する責任が伴います。例えば、購入した商品が説明と異なる、または不良品である場合、売買契約における契約不適合責任が問われます。

売買契約における不適合責任は買い手が商品を受け取った後に発見されることが多いため、売り手は商品引き渡し時に十分な確認を行うことが重要です。また、契約書には商品の仕様や品質について具体的な記載をすることで、トラブルを未然に防ぐことが可能です。

 

■瑕疵担保責任との違い

以前の民法では瑕疵担保責任という用語が使われており、これは主に物の欠陥や不具合に対する責任を指していました。しかし、2020年の民法改正により、この瑕疵担保責任は契約不適合責任に置き換えられています。契約不適合責任は、単に物の欠陥だけでなく契約で合意された内容に適合しない場合全般に適用されるため、適用範囲が広がったと言えるでしょう。

契約不適合責任に対しては、修補請求や代金減額請求、損害賠償請求、契約解除といった選択肢が用意されており、請負人や売主は責任を持って対応する必要があります。

 

 

2. 請負契約における契約不適合責任

請負契約における契約不適合責任とは、契約内容に適合しない成果物が提供された場合に、請負者が負う責任を指します。この責任は、契約の目的を達成するために提供される成果物が、契約で定められた仕様や品質に適合していることを保証するものです。不適合があった場合、請負者は修補や損害賠償などの対応を求められることがあります。

建設業や製造業など、成果物が大きな影響を及ぼす業界では、この責任が非常に重視されます。例えば、建設業では、建物の完成が契約通りでない場合、請負者は修理や補修を行う責任があります。また、民法改正により、従来の瑕疵担保責任から契約不適合責任へと変わり、より具体的な対応が求められるようになりました。

 

■請負契約での契約不適合責任の具体例

建設業界での請負契約では、建物の完成後に壁のひび割れや配管の不具合が見つかることがあります。請負者は契約に基づいて建物を完成させる義務がありますが、完成した建物が契約内容に合致していないと判断されると契約不適合責任が発生するわけです。

契約不適合責任が発生した場合、発注者は修補請求や代金減額請求、契約解除、損害賠償請求といった手段を取ることが可能です。修補請求とは、請負者に不具合を修理させることを求めるもので、最も一般的な対処法です。しかし、修補が不可能な場合や修補に過大な費用がかかる場合には、他の手段が選択されることもあります。

また、ソフトウェア開発の請負契約で納品されたシステムが仕様書通りに動作しない場合、システムの修正を求めることが一般的ですが、修正が困難な場合には代金の一部返還や契約解除が検討されることもあります。

 

■契約不適合責任が発生した場合の対処法

契約不適合責任が発生した際には、契約書を確認し、どのような責任が請負者にあるのかを明確にする必要があります。契約書には、成果物の基準や不適合が発生した場合の修正義務などが記載されていることが一般的です。次に、発注者と請負者の間で話し合いを行い、修正や補償の方法を決定します。場合によっては、第三者を交えた調停や裁判に発展することもあるでしょう。

また、事前に契約不適合責任を防ぐための対策も重要です。契約締結前に詳細な仕様書を作成し、双方で確認することや、進捗状況の定期的なチェックを行うことが挙げられます。これにより、重大な問題が発生する前に対応策を講じることが可能です。

 

 

3. 請負契約における契約不適合責任の時効

請負契約における契約不適合責任については、原則として「請求できることを知った時から1年以内」に権利を行使しなければなりません。また、請負契約における契約不適合責任の時効は、目的物の引渡し時から始まります。

 

前条本文に規定する場合において、注文者がその不適合を知った時から一年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。

2 前項の規定は、仕事の目的物を注文者に引き渡した時(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時)において、請負人が同項の不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、適用しない。


引用:民法637条

 

ただし、契約不適合責任の時効期間に関する民法の定めは「任意規定」であるため、契約書などで時効期間を短くしたり長くしたりすることが可能です。

 

 

4. 契約不適合責任を免れるためのポイント

契約不適合責任を免れるためには、契約内容を明確にし、リスクを事前に管理することが重要です。契約不適合責任が発生すると請負者にとって大きな負担となるため、契約時に適切な対策を講じるようにしましょう。

不適合責任を免れるためには、契約書に免責条項を設けることが考えられます。免責条項は特定の条件下で請負者の責任を限定するものですが、法律で制限されているため、その限界を理解することが重要です。また、民法以外の法律による制限も考慮する必要があります。

 

■免責条項の設定

免責条項とは、特定の条件下で契約者が責任を負わないことを明記する条項のことを指します。これにより、予期せぬ契約不適合責任が発生した場合でも、請負者が責任を免れることができます。ただし、故意または重大な過失による不適合の場合、免責条項は無効とされることが多いです。

免責条項を設定する際は、具体的な条件や範囲を明確に記載し、双方の合意を得るようにしましょう。また、法律の専門家の意見を取り入れることで、より効果的な条項を作成することが可能です。契約不適合責任を完全に免れることは難しいですが、適切な免責条項の設定により、リスクを大幅に軽減することができます。

 

■民法以外の法律による制限

請負契約における契約不適合責任を免れるためには、建設業法や消費者契約法など、民法以外の法律による制限を理解することが重要です。建設業法では建設工事の品質確保が求められ、請負者は一定の基準を満たす必要があります。これにより、契約不適合責任が発生した場合でも、建設業法に基づく基準を満たしていれば、一部責任を免れる可能性があります。

また、消費者契約法は消費者を保護するための法律であり、契約内容が消費者にとって不利な場合、無効とされることがあります。さらに、特定商取引法も考慮すべき法律の一つです。特定商取引法は訪問販売や通信販売などの特定の取引に適用され、契約解除や返品のルールが定められています。これらの法律を遵守することで、契約不適合責任を軽減することが可能です。

 

■民法改正に伴う契約内容の見直し

2020年4月の民法改正では、従来の「瑕疵担保責任」という用語が「契約不適合責任」に変更されました。この変更は、契約内容に適合していない場合の責任を明確化することを目的とするものです。「瑕疵担保責任」では目的物に瑕疵が見つかった場合に責任が発生していましたが、「契約不適合責任」では契約内容に適合しない場合に責任が発生します。

民法改正に伴う用語の変更により、請負契約書の内容も見直しが必要です。例えば、従来の「瑕疵」という表現を「契約内容に適合しない点」といった具体的な表現に置き換えることが求められます。また、契約不適合責任の範囲や内容を明確にするために、契約書に詳細な条項を盛り込むことが重要です。

 

 

5. まとめ

今回は、請負契約・売買契約における契約不適合責任の概要や責任、時効について解説しました。

契約内容に基づいて成果物を提供する責任を負う請負契約においては、成果物が契約内容に適合しない場合に発生する契約不適合責任があります。本記事で解説した契約不適合責任の責任や時効を参考に、民法改正に対応した契約書を作成しましょう。

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