「準委任契約では収入印紙が必要なのか」「必要な金額はどのくらいになるのか」と不安に思っている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、準委任契約で収入印紙の貼付が必要なケースと注意点について詳しく解説します。
1. 収入印紙とは
収入印紙とは、特定の文書に対して課税される印紙税を支払うために使用される証票のことです。印紙税は、国が特定の取引や契約に対して課税する制度であり、その支払いを証明するために文書に収入印紙を貼付します。収入印紙を貼付することにより、文書が法的に有効となり、税務上の義務を果たすことができます。
収入印紙が必要な文書は法律で定められた「課税文書」と呼ばれるもので、契約書や領収書などが該当します。課税文書に収入印紙を貼っていなかった場合、過怠税が課される可能性があるため注意が必要です。収入印紙は契約当事者のどちらかが購入し、文書に貼付することで税務上の義務を果たしますが、一般的には契約書を作成した側が負担することが多いです。
■印紙税とは
印紙税とは、契約書や領収書など特定の文書に対して課される税金のことを指します。文書を作成する際に収入印紙を貼付することで、税金を納める仕組みです。印紙税は、文書の種類や記載内容によって異なる税額が定められており、契約金額が大きい契約書ほど高額な印紙税がかかる場合があります。
印紙税の課税対象となる文書は「課税文書」と呼ばれ、具体的には契約書や領収書、約束手形などが該当します。ただし、すべての文書が課税対象となるわけではなく、非課税文書も存在します。非課税文書には、例えば領収金額が5万円未満の領収書などがあります。
印紙税は、文書を作成した際に収入印紙を貼付することで納税義務を果たします。もし誤って印紙を貼り忘れた場合、過怠税が課されることがあるため、文書作成時には印紙税の確認を怠らないことが重要です。
■課税文書とは
課税文書とは、法律に基づき印紙税が課される文書のことを指します。具体的には契約書や領収書、請求書などが該当しますが、どの文書が課税対象となるかは、印紙税法で定められています。印紙税法は、どのような場合に印紙税が必要かが詳細に規定されている法律です。
印紙税法では文書の内容や金額によって課税の有無が決まるため、契約書を作成する際には注意する必要があります。課税文書に該当するかどうかを確認し、必要に応じて収入印紙を適切に貼付することで、法令違反を防ぐことができます。
■収入印紙はどちらが貼付するのか
法律上、収入印紙を貼付する義務があるのは、印紙税法に基づく「課税文書の作成者」です。共同で課税文書を作成した場合、双方に収入印紙を貼付する義務があります。
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別表第一の課税物件の欄に掲げる文書のうち、第五条の規定により印紙税を課さないものとされる文書以外の文書(以下「課税文書」という。)の作成者は、その作成した課税文書につき、印紙税を納める義務がある。 2 一の課税文書を二以上の者が共同して作成した場合には、当該二以上の者は、その作成した課税文書につき、連帯して印紙税を納める義務がある。 引用:印紙税法第3条 |
たとえば、業務委託契約であれば、委託者と受託者が印紙代を折半し、それぞれの契約書に貼付するのが一般的です。ただし、収入印紙を貼付する際には、契約書の控えに貼付する必要はありません。
2. 準委任契約で収入印紙の貼付が必要なケース
原則として、準委任契約では収入印紙を貼付する必要はありません。ただし、契約書が「第1号文書」や「第7号文書」に該当する場合、例外的に収入印紙の貼付が必要です。
■第1号文書に該当する場合
準委任契約において収入印紙の貼付が必要となるケースの一つが、第1号文書に該当する場合です。第1号文書とは、印紙税法別表第一 課税物件表で定義されている、無体財産権の譲渡に関する契約書です。 無体財産権とは、特許権や実用新案権、商標権、意匠権、回路配置利用権、育成者権、商号及び著作権のことを指します。
準委任契約であっても、無体財産権の譲渡を伴う場合には、第1号文書に該当することがあります。
■第7号文書に該当する場合
準委任契約において収入印紙の貼付が必要なケースとして、第7号文書に該当する場合があります。第7号文書とは、印紙税法施行令第26条で定義されている、「売買の委託に関する契約書」や「売買に関する業務の継続委託に関する契約書」です。具体的には、販売店契約書や代理店契約書、特約店契約書などが該当します。ただし、契約期間が3か月以内で、契約の更新について規定がない場合については、収入印紙の貼付は不要です。
3. 準委任契約で収入印紙の貼付が不要なケース
準委任契約で収入印紙の貼付が不要なケースは以下の3つです。
- 報酬が1万円未満の契約
- 報酬や支払い方法の記載がない
- 電子契約による締結
それぞれのケースについて詳しく解説します。
■報酬が1万円未満の契約
報酬が1万円未満の契約においては、印紙税法に基づき、準委任契約書に収入印紙を貼付する必要がありません。ただし、契約書の作成時には、報酬額が1万円未満であることを明確に記載する必要があります。
■報酬や支払い方法の記載がない
準委任契約において、報酬や支払い方法の記載がない場合、収入印紙の貼付は不要です。これは、印紙税法において課税対象となる文書は、金銭の受け渡しに関する具体的な記載がある場合に限られるためです。報酬額や支払い条件が明示されていない契約書は課税文書に該当しないと見なされるため、業務の内容や目的を明記していても、金銭のやり取りを直接的に示していないため、印紙税の対象外となります。
ただし、後日、報酬や支払い方法が明確になり、それを契約書に追記する場合は注意が必要です。その際には、新たに作成した契約書が課税文書に該当する可能性があるため、収入印紙の貼付が必要となることがあります。契約内容の変更や追加があった場合には、その都度、印紙税の適用について確認することが重要です。
■電子契約による締結
電子契約はインターネットを介して契約内容を確認・承認する形式で、ペーパーレス化を進める企業で活用されている手法です。クラウド上で契約書を管理することで、保存スペースの削減や契約プロセスの効率化が期待できます。また、契約書の内容が改ざんされにくく、セキュリティ面でも安心です。
電子契約によって準委任契約を締結した場合、準委任契約書に収入印紙を貼付する必要はありません。これは、電子契約が紙の契約書と異なり、物理的な文書として存在しないためです。収入印紙は紙の契約書に対して課される税金であり、電子契約は印紙税法の適用外となっています。
ただし、電子契約を行う際には、契約内容の確認や承認のプロセスがしっかりと記録されることが重要です。電子署名やタイムスタンプを利用することで、契約の正当性を証明することができ、後日トラブルが発生した際にも契約の有効性を証明できます。
4. 準委任契約書に貼付する収入印紙の金額
■第1号文書の金額
印紙税法では、第1号文書に該当する契約書には、契約金額に応じた印紙税が必要になります。例えば、契約金額が1万円以上10万円以下の場合、200円の収入印紙が必要です。契約金額が増えると、印紙税の額も増加します。
印紙税額一覧表
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契約金額 |
税額 |
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1万円未満のもの |
非課税 |
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1万円以上 100万円以下のもの |
200円 |
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100万円を超え 200万円以下のもの |
400円 |
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200万円を超え 300万円以下のもの |
1,000円 |
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300万円を超え 500万円以下のもの |
2,000円 |
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500万円を超え 1,000万円以下のもの |
1万円 |
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1,000万円を超え 5,000万円以下のもの |
2万円 |
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5,000万円を超え 1億円以下のもの |
6万円 |
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1億円を超え 5億円以下のもの |
10万円 |
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5億円を超え 10億円以下のもの |
20万円 |
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10億円を超え 50億円以下のもの |
40万円 |
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50億円を超えるもの |
60万円 |
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契約金額の記載のないもの |
200円 |
参考資料:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで「国税庁」
■第7号文書の金額
第7号文書に該当する場合、取引金額に関わらず4,000円分の収入印紙の貼付が必要です。
5. 準委任契約書に収入印紙を貼り忘れた際の注意点
準委任契約書に収入印紙を貼り忘れた際の注意点は以下の3つです。
- 過怠税が課される
- 契約書の効力は失われない
- 控えに収入印紙を貼付する必要はない
それぞれの注意点について詳しく解説します。
■過怠税が課される
準委任契約書に収入印紙を貼り忘れた場合、過怠税が課されることがあります。過怠税とは、法律で定められた収入印紙を正しく貼付しなかった際に、国から課される税金です。準委任契約書に収入印紙を貼り忘れると、印紙税法に基づいて本来の印紙税額に加えて、過怠税としてその3倍の金額が請求される可能性があります。つまり、例えば本来の印紙税が200円であれば、600円の過怠税が課され、合計800円を支払わなければならなくなるわけです。
印紙を貼り忘れた場合には、できるだけ早く税務署に相談し、適切な対応を取ることが重要です。早期に対応することで、過怠税の軽減措置が受けられる可能性もあります。
■契約書の効力は失われない
前述したように印紙を貼り忘れると過怠税が課されるリスクがありますが、契約書に収入印紙を貼り忘れても、その契約書の効力自体は失われません。印紙税法は、課税文書に対する租税を規定しているものであり、契約の有効性を判断するものではないからです。
■控えに収入印紙を貼付する必要はない
契約書の控えはあくまで記録や確認のために作成されるものであり、法的に効力を持たせるためのものではないため、印紙を貼る義務はありません。印紙税は契約書の原本に対して課されるものであり、控えに印紙を貼ると、無駄な費用が発生してしまいます。また、契約書の控えは、契約の内容を確認するためのものであるため、印紙の有無が契約の有効性に影響を与えることはありません。
6. まとめ
今回は、準委任契約で収入印紙の貼付が必要なケースと注意点について解説しました。
業務の遂行を委託する際に多く利用される準委任契約では、収入印紙を貼付する必要があるかどうかを把握することも重要です。印紙税は作成する契約書の種類によって金額が異なり、電子契約を活用することで余計な支出を避けることができます。
契約書を作成する際には印紙税の有無を確認し、法律に基づいた処理を心がけましょう。
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