「請負契約と業務委託契約の違いって何だろう」「請負契約と業務委託契約のどちらを選ぶべきだろうか」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。契約形態の選択はビジネスの成功に大きく影響するため、慎重に考える必要があります。
本記事では、請負契約と業務委託契約の違いやそれぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説します。
1. 請負契約と業務委託契約の関係
請負契約と業務委託契約は、どちらも外部の専門業者やフリーランスに業務を依頼する際に利用される契約形態です。民法においては業務委託契約という表記は使用されていませんが、請負契約については明確に規定されています。
業務委託契約という表現は、請負契約・委任契約・準委任契約の3つの総称として使用されており、請負契約は業務委託契約に内包された契約形態と言えるでしょう。
■請負契約とは
請負契約は、特定の仕事を完成させることを目的とした契約形態です。例えば、建築工事やソフトウェアの開発プロジェクトなど、成果物の完成をもって契約の目的が達成される場合に採用されます。請負契約の最大の特徴は、成果物が完成するまでの過程や方法については受注者の裁量に任される点にあります。受注者は成果物の完成に責任を持つため、納期や品質の管理は重要です。受注者は自らの技術やノウハウを活かし、効率的に作業を進めることができますが、成果物が契約内容を満たさない場合、受注者は補修や再作業を行う義務が生じます。
■業務委託契約とは
業務委託契約とは、特定の業務を外部の専門家や企業に依頼し、その業務の遂行を委託する契約のことです。業務委託契約には請負契約・委任契約・準委任契約の3種類が含まれ、それぞれ異なる特徴を持っています。
業務委託契約は労働契約ではないため、受託者は労働法上の労働者としての保護を受けられないことがあります。そのため、業務委託契約を結ぶ際には、業務の内容や期限、報酬、責任範囲などを明確にし、双方が納得する契約書を作成することが重要です。
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2. 業務委託契約における請負契約・委任(準委任)契約の違い
業務委託契約は、大きく分けると以下の3種類に分類されます。
- 請負契約
- 委任契約
- 準委任契約
それぞれの特徴について詳しく解説します。
■請負契約の特徴
請負契約の特徴として挙げられるのは、「成果物の完成」が求められる点です。請負契約では受託者が特定の成果物を完成させる義務を負い、成果物の納品をもって報酬が支払われます。例えば、建設業やソフトウェア開発など、具体的な成果物が明確な業務に適しています。
請負契約では受託者が業務の進め方や手段を自由に決定できるため、技術やノウハウを活かした独自の方法で成果物を作り上げることが可能です。ただし、成果物が不完全だった場合は修正や再作業が求められることもあるため、受託者は品質管理に対して高い意識を持つ必要があります。
また、請負契約では、受託者が独立した事業者としての立場を保つため、労働法上の労働者としての保護は受けられません。そのため、受託者は自身の労働時間や健康管理を自己責任で行う必要があります。
■委任契約の特徴
委任契約は、法律行為に係る業務を他者に任せる契約形態であり、業務の遂行において特定の成果物を求めないのが特徴です。業務の実施自体が目的で、結果の保証は求められません。例えば、法律相談や税務相談などの専門的な助言を提供する場合に多く用いられます。
委託者(業務を依頼する側)は受託者(業務を行う側)に対して業務の遂行に必要な権限を与え、受託者はその権限の範囲内で業務を実施します。業務の結果に対する法的責任は、受任者が故意や過失を犯さない限り問われません。
一方で、委任契約にはいくつかの問題点も存在します。例えば、業務の範囲や内容が曖昧だと、後々のトラブルの原因になるかもしれません。これを避けるためには、契約時に業務内容を具体的に明記することが重要です。
■準委任契約の特徴
準委任契約は業務委託契約の一つで、法律行為以外の特定の業務について、知識やスキルを提供しその遂行を目的とする契約です。結果そのものよりも、業務の遂行そのものに重きが置かれます。例えば、コンサルティング業務や会計業務などが該当します。準委任契約では委託者が示す方針や要件を踏まえて業務を行うことが求められますが、成果物の完成を保証するものではありません。
準委任契約の特徴として、受託者は業務の遂行に対して「善管注意義務」を負います。善管注意義務は、業務を遂行する際に、専門家としての注意を払って業務を行う責任があることを意味します。
準委任契約は、業務の柔軟性が高いことがメリットです。受託者は業務の遂行方法を自らの裁量で決定できるため、専門的な知識やスキルを活かすことができます。
3. 業務委託契約を結ぶメリット・デメリット
■委託者側のメリット・デメリット
委託者側にとっての業務委託契約のメリットとして、効率的な人材活用が挙げられます。必要な時に必要なスキルを持つ専門家を採用できるため、プロジェクトの進行に合わせた最適な人材配置が可能です。また、専門的な知識や技術を持つ外部の専門家に業務を委託することで、社内リソースをコア業務に集中させることができます。
一方、デメリットとしては、業務の進捗や成果物の質を管理するための手間が増える点が挙げられます。外部の受託者とのコミュニケーションが不十分だと、期待通りの成果が得られないリスクもあります。契約内容が不明確だとトラブルの原因になることもあるため、契約書で業務範囲や成果物の基準を明確にすることが重要です。
■受託者側のメリット・デメリット
受託者側のメリットとしてまず挙げられるのが、作業時間の柔軟性です。受託者は基本的に自分のスケジュールに合わせて仕事を進められるため、プライベートの時間を確保しやすいです。また、複数の案件を同時に受けることができるため、収入の幅を広げるチャンスもあります。さらに、特定の企業に縛られず業務を受注できるため、多様な業界やプロジェクトに関わることも可能です。
一方、受託者側には、安定した収入を得にくい、社会保険や福利厚生がないというデメリットがあります。さらに、業務の成果が期待通りでない場合、契約解除や報酬の減額を巡るトラブルに発展するかもしれません。
4. 業務委託で請負契約を結ぶメリット・デメリット
■業務委託で請負契約を結ぶメリット
業務委託で請負契約を結ぶメリットは、成果物を明確に定められる点です。請負契約では具体的な成果物を納品することが求められ、受託者はその成果物を完成させる義務があります。このため、委託者は成果物の品質や納期についての管理がしやすくなるわけです。
■業務委託で請負契約を結ぶデメリット
業務委託で請負契約を結ぶ際のデメリットは、納期遅延や品質不良のリスクがある点です。請負契約は成果物の完成を目的とするため、受託者の技術力や管理能力に依存する部分が大きく、納期が遅れたり品質が期待を下回ったりする可能性があります。
また、法的な責任が発生する場合もあります。例えば、受託者が業務中に事故を起こした場合、委託者がその責任を問われることは少ないですが、受託者が情報漏えいなどの不正を行った場合、委託者が法的な責任を負う場合があります。
さらに、請負契約では成果物の完成を目的としているため、途中での契約解除が難しいという側面もあります。契約解除には正当な理由が必要であり、契約内容に明記されていない場合はトラブルの原因となることも考えられます。
5. 業務委託で委任(準委任)契約を結ぶメリット・デメリット
■業務委託で委任(準委任)契約を結ぶメリット
業務委託で委任(準委任)契約を結ぶメリットは、外部の人材の専門性を活かすことができる点です。専門的な知識やスキルを持つ人材に業務を委託することで、その分野における高い専門性を活かした業務遂行が期待できます。
さらに、委任(準委任)契約は雇用契約とは異なり、社会保険料や雇用保険の支払い義務が発生しないため、委託者は業務委託にかかる費用を効率的に抑えることが可能です。
■業務委託で委任(準委任)契約を結ぶデメリット
業務委託で委任(準委任)契約を結ぶデメリットとして挙げられるのは、成果物の保証がないことです。委任(準委任)契約は特定の業務を行うこと自体を目的としているため、成果物の完成や品質には責任を負いません。
また、委任(準委任)契約では、業務を行う時間や場所に関して受託者に大きな裁量が与えられるため、委託者が業務の進捗管理を正確に把握することが困難です。さらに、契約期間中に問題が発生した場合でも契約解除には法的な手続きが必要となることが多く、迅速な対応が難しい場合があります。
6. 業務委託契約締結時に注意すべきポイント
業務委託契約締結時に注意すべきポイントは以下の4つです。
- 偽装請負を避けるための対策
- 契約内容の明確化
- 収入印紙の添付
- 委託先管理の必要性
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
■偽装請負を避けるための対策
偽装請負とは、表向きは請負契約であるにもかかわらず、実際には労働者派遣のような関係が生じている状態を指します。
偽装請負を避けるためには、契約内容を明確にし、実際の業務が契約通りに行われているかを確認することが重要です。また、契約書において成果物の定義や納期、品質基準を具体的に記載する必要があります。
次に、実際の業務の進行状況を定期的に確認し、契約内容と一致しているかをチェックしましょう。契約内容と実務がずれていると感じた場合は、早急に是正措置を講じることが求められます。
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■契約内容の明確化
契約内容が曖昧なままでは、後々トラブルが発生する可能性が高まります。どのような業務を行うのか、納期はいつまでか、報酬はどのように支払われるのかなど、具体的な内容を明確にすることが重要です。
業務委託契約書には、業務の範囲や成果物の基準を明確に記載しましょう。また、業務の進捗や報告の頻度についても取り決めておくことで、スムーズなコミュニケーションを図ることが可能です。
■収入印紙の添付
業務委託契約書などの「課税文書」には、法律で定められた金額の収入印紙を添付する必要があります。業務委託契約書に収入印紙を貼付することで、その契約が公的に認められます。必要な金額の収入印紙を貼付しなかった場合、税務署から過怠税を課される可能性があるため、注意が必要です。
収入印紙が必要かどうかは、契約時にやりとりする書類の種類によって異なります。例えば、請負契約書のような課税文書には、収入印紙の貼付が必要です。一方、単なる見積書や請求書には、収入印紙を添付する必要はありません。また、契約金額に応じて貼付する収入印紙の金額も変わるため、事前に確認しておくことが重要です。
収入印紙の貼付が必要な場合、契約書の作成時に忘れずに貼付し、双方が署名する前に確認するようにしましょう。また、収入印紙を貼付した後は、契約書に消印をすることで、収入印紙の不正利用を防ぐことができます。
■委託先管理の必要性
委託先管理とは、サイバーセキュリティやコンプライアンス、製品の不備、ハラスメントといった委託先におけるリスクによって、企業が倒産しないように、委託先を管理することです。委託先の管理が不十分だと、期待通りの成果が得られなかったり、法的な問題が発生したりする恐れがあります。
委託先管理を円滑に進めるためには、定期的な進捗報告を求めることが大切です。週次や月次など、定期的に進捗状況を確認することで、問題の早期発見が可能になります。必要に応じてオンライン会議や電話でのフォローアップを行うと良いでしょう。
また、業務の目的や期待する成果を具体的に伝えることで、委託先が目指すべき方向性を理解しやすくなります。さらに、契約内容の定期的な見直しも重要です。業務の進行状況や市場の変化に応じて契約内容を柔軟に見直すことで、双方にとって有益な関係を築けます。
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7. まとめ
今回は、請負契約と業務委託契約の違いやそれぞれのメリット・デメリットについて解説しました。
業務委託契約における請負契約と委任(準委任)契約の違いを知ることは、適切な契約を選択するために重要です。請負契約は成果物を提供することを目的とし、委任(準委任)契約は業務を遂行することを目的としています。本記事で解説した業務委託契約における請負契約と委任(準委任)契約の違いやメリット・デメリットを参考に、最適な契約形態を選ぶようにしましょう。
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