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ITリスクマネジメントとは?重要な理由や主なITリスク、ITリスクマネジメントを実施する手法について解説

「ITリスクマネジメントとは何か」「ITリスクマネジメントではどのようなリスクに対応するのか」「ITリスクマネジメントを実施するためにはどうすればよいのか」など、疑問に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか?


本記事では、ITリスクマネジメントの概要から重要な理由、主なITリスク、ITリスクマネジメントを実施する手法について解説します。

 

 

1. ITリスクマネジメントとは


ITリスクマネジメントとは、自社で発生するITリスクに対し、リスクマネジメントを実施することです。

分かりやすく言えば、ITリスクに特化したリスクマネジメントと言えるでしょう。


インターネット環境やIT技術を活用したビジネス環境が当たり前となったことから、企業がリスクマネジメントを実施する上で、ITリスクへの対応は欠かせないものとなっています。

 

 

■ITリスクとは

ITリスクとは、自社で発生するリスクのうち、以下のような情報技術(IT)が関わるリスクです。

  • 日常のトラブル(ソフトウェアバグ、ハードウェアの故障、クラウドのシステム障害等)
  • 災害によるトラブル(地震によるマシン損傷、浸水によるネットワーク装置故障等)
  • 人的・組織的なトラブル(ヒューマンエラー、サイバー攻撃、内部犯行によるシステム障害)

 

 

■リスクマネジメントとは

リスクマネジメントとは、企業が経営を行う際に遭遇する可能性のあるリスクやその影響を正確に理解し、事前に対策を講じることで危機を回避したり、損失を最小限に抑えたりするためのプロセスです。

企業の価値を維持または増大させることを目的として、リスクマネジメントを実施します。


リスクマネジメントを実施する手順は以下の通りです。

  1. リスクの洗い出し:企業を取り巻くリスクを洗い出し、特定します。
  2. リスクの分析・評価:リスクの発生確率と影響を分析し、対応の優先順位を決めます。
  3. 対応計画策定:評価されたリスクに対する対策を立案します。
  4. 対策の実施:立案された対策を実行します。
  5. モニタリング:実施された対策の効果を評価し、必要に応じて改善します。

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リスクマネジメントとは?プロセスやポイントを解説

 

 

2. ITリスクマネジメントが重要な理由

ITリスクマネジメントが重要な理由は以下の通りです。

  • IT技術を前提としたビジネスを展開する企業が多い
  • 被害が発生すると大きな影響を受ける

 

それぞれの理由について解説します。

 

 

■IT技術を前提としたビジネスを展開する企業が多い

ITリスクマネジメントが重要な理由の1つ目は、IT技術を前提としたビジネスを展開する企業が多いからです。


以前はTVCMや新聞といったオフライン広告を中心とした集客が主流でしたが、近年ではWEB広告を活用した集客の割合が増加しています。

また、勤怠管理や予算管理などについても、手書きやエクセルなどを使った作業から、WEBツール・システムを活用する企業が増加しています。


一見するとIT技術とは関係のないような業務においても何らかの形で関わっている事が多く、ITリスクが発生するとさまざまな業務へ影響を与える恐れがあります。

 

 

■被害が発生すると大きな影響を受ける

ITリスクマネジメントが重要な理由の2つ目は、被害が発生すると大きな影響を受けるからです。


社内のシステムやメール、ツール、サービスなど、多くの企業ではインターネット環境を前提としたIT技術が多数使用されており、IT技術は無視できないほどビジネスに大きな影響を与えています。

IT技術を活用することでスムーズにビジネスが展開できるようになった一方で、システムトラブルやサイバー攻撃、ヒューマンエラーなどでIT技術が使用できない状況に陥ってしまうと、業務が完全にストップしてしまう恐れがあります。


ITリスクマネジメントを実施することにより、上記のようなトラブルが発生することを事前に想定したうえで、予防対策や事後対応の準備をすることで、自社への被害を最小限に抑えることが可能です。

 

 

3. ITリスクの分類

ITリスクは主に3つの分類に分けることが可能です。

  • 日常のトラブル
  • 災害によるトラブル
  • 人的・組織的なトラブル

 

それぞれの分類について解説します。

 

 

■日常のトラブル

ITリスクの分類の1つ目は、日常のトラブルです。


日常的に起こる可能性のあるトラブルで、下記のようなトラブルが含まれます。

  • ソフトウェアバグによるアプリケーション・トラブル
  • 故障(耐用年数超過を含む)によるハードウェア・トラブル
  • 停電、瞬断、空調停止などによる環境トラブル
  • ネットワーク装置故障、ケーブル脱落・破線によるトラブル
  • 突発的な高負荷、性能設計ミスによる性能トラブル
  • クラウドのシステム障害、ネットワーク障害による委託先トラブル

 

 

■災害によるトラブル

ITリスクの分類の2つ目は、災害によるトラブルです。


台風や津波、地震などの自然災害が発生すると、自社オフィスのIT機器が直接被害を受けて使用できなくなったり、停電やネットワーク設備の故障によってインターネットが使用できなくなったりする恐れがあります。

 

 

■人的・組織的なトラブル

ITリスクの分類の3つ目は、人的・組織的なトラブルです。


セキュリティ対策が充実したIT機器を使用していたとしても、IT機器を使用する人間の操作ミスによる被害を防ぐことはできません。


以下のようなヒューマンエラーが発生すると、大きな問題に発展する恐れがあります。

  • 機密情報や個人情報が含まれているメールを社外の人へ間違って送信してしまった
  • 社内システムにログインしたまま離席したことで外部の人が操作してしまった
  • 自社SNSアカウントで不適切な投稿をした

 

また、サイバー攻撃や内部の犯行によるシステム障害もこの分類に含まれます。サイバー攻撃を受けてしまうと、自社が抱える機密情報や個人情報などが漏えいしたり、ウィルスに感染したシステムや暗号化されたデータの復旧と引き換えに身代金を要求されたりする恐れがあります。

 

 

4. ITリスクマネジメントの手法

ITリスクマネジメントの手法は以下の4つです。

  • BCP(事業継続計画)を策定する
  • システムを強化する
  • リテラシー教育を実施する
  • 取引先のリスク管理をチェックする

 

それぞれの手法について解説します。

 

 

■BCP(事業継続計画)を策定する

ITリスクマネジメントの手法の1つ目は、BCP(事業継続計画)を策定することです。


BCPとは、自然災害やパンデミック、テロ攻撃、サイバー攻撃、不正行為、システム障害などの不測の事態が発生した場合に被害を最小限に抑え、早期復旧して事業を継続できるようにするための計画を指します。

不測の事態が発生することを想定し、自社が直接受ける被害に対して備えることで、自社が受ける影響を軽減することが可能です。

 


■システムを強化する

ITリスクマネジメントの手法の2つ目は、システムを強化することです。


サーバーの冗長化やデータのバックアップ、ネットワークの冗長化をしておくことで、故障などで停止したり利用できなくなった際にもシステムが稼働し続けられたり、データの損傷・消失を防ぐことができます。

特に重要なシステムにおいては上記の対策を取っておくと良いでしょう。

 

 

■リテラシー教育を実施する

ITリスクマネジメントの手法の3つ目は、ITリテラシー教育を実施することです。


ITリテラシーとは、IT機器・ITサービスの仕組みや構造の理解、使い方、使用時のマナー・モラルなどに関する能力を指します。

たとえば、日常的に利用する機会が多いメールについても、TO・CC・BCCの違いや使い方を理解できていなければ、間違った相手にメールを送信してしまい、機密事項が社外へ流出する恐れがあります。


また、自社SNSアカウントを運用する場合においても、不適切な投稿をすれば、炎上して自社の評判が大きく低下するかもしれません。

リテラシー教育を実施することで、ITリスクが発生する可能性を低下させることができ、発生した際にも早期対応が可能になります。

 

 

■取引先のリスク管理をチェックする

ITリスクマネジメントの手法の4つ目は、取引先のリスク管理をチェックすることです。


ITリスクは自社を起因とするものばかりではなく、取引先を起因としたITリスクも想定されます。


委託先・取引先がBCP(事業継続計画)を策定しているか、システムの冗長化等を行っているか、社員へのリテラシー教育を実施しているかなど、委託先・取引先のリスク管理対策を定期的にチェックすることが重要です。

 

 

5. まとめ

今回は、ITリスクマネジメントの概要から重要な理由、主なITリスク、ITリスクマネジメントを実施する手法について解説しました。


近年ではインターネット環境やIT技術を活用したビジネス環境が欠かせないものとなっており、企業がリスクマネジメントを実施する上でITリスクへの対応は重要な要素です。

また、取引先とネットワークを構築してビジネスを展開するケースも増加しているため、自社だけでなく取引先のリスク管理状況をチェックする必要があります。

 

 

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