請負契約とは?委任契約・派遣契約との違いやメリット・デメリットを解説

「請負契約とはどのような契約なのか」「委任契約や派遣契約とどのような違いがあるのだろうか」と不安を感じている方もいるのではないでしょうか。請負契約の仕組みや特徴を正しく理解することで、円滑な取引やトラブルの回避に役立ちます。

本記事では、請負契約の概要から委任契約・派遣契約との違い、締結するメリット・デメリットまで詳しく解説します。

1. 請負契約とは

請負契約とは、特定の仕事を完成させることを目的とした契約形態です。完成した成果物に対して、報酬が支払われます。民法では請負契約は成果物の引き渡しをもって契約が成立するとされており、建設工事や製品の製造など、具体的な成果物が求められる業務においてよく利用されている契約形態です。

請負契約の特徴は、成果物の完成が報酬の支払い条件となる点にあります。このため、請負人は成果物の完成に責任を持ち、注文者はその完成を確認した上で報酬を支払います。成果物の品質が保証されるだけでなく、完成した成果物に対してのみ支払いを行うため、注文者はリスク管理がしやすくなるわけです。

 

■委任契約の違い

請負契約と委任契約はどちらも業務を他人に任せる契約ですが、その性質は大きく異なります。請負契約は特定の成果物を完成させることを目的とした契約であり、請負人は成果物を完成させる責任を負います。例えば、建築物の完成やソフトウェアの開発などがこれに該当します。一方、委任契約は、特定の行為や業務の遂行を委ねる契約です。委任契約では成果物の完成は求められず、業務を遂行すること自体が目的となります。

請負契約では成果物の完成が重要なため、完成しなかった場合の責任は請け負う側にあります。これに対し、委任契約では業務遂行の過程が重要であり、結果よりも行為そのものが重視されます。そのため、受託者は、委任された業務を誠実に遂行する義務を負うものの、成果の完成については責任を持ちません。

 

■業務委託契約との違い

業務委託契約と請負契約の違いは、その業務の性質や責任の範囲にあります。請負契約では、請負人が指定された仕事を完成させることが目的であり、その結果に対して責任を負います。一方、業務委託契約には請負契約・委任契約・準委任契約の3種類があり、請負契約を含めた契約形態です。

 

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■派遣契約との違い

請負契約と派遣契約は、業務の依頼方法や責任の所在が異なります。請負契約は成果物の完成を目的とした契約で、請負人が独立して仕事を完遂する責任を負います。一方、派遣契約は、派遣会社が労働者を派遣先に送り、その労働者が派遣先の指示に従って働く形態です。派遣契約では、労働者の指揮命令権が派遣先にあります。

また、請負契約では成果物の品質や納期について請負人が責任を持ちますが、派遣契約では派遣先が労働者の業務に対する指揮命令を行うため、その結果について派遣先が責任を持つことが一般的です。このため、業務内容や責任の範囲を明確に理解し、適切な契約形態を選ぶことが求められます。

 

■売買契約との違い

売買契約と請負契約はどちらも契約の一種ですが、目的と内容に大きな違いがあります。売買契約は物やサービスを売買することを目的とし、売主が買主に商品を引き渡し、買主がその代金を支払うという形で成立します。一方、請負契約は特定の仕事を完成させることを目的としており、請負人が注文者の依頼に基づいて仕事を完成させ、その成果物を引き渡すことで報酬を受け取ります。

売買契約と請負契約の違いは、契約の性質に大きく影響します。売買契約では商品が完成していることが前提であるのに対し、請負契約では成果物の完成が求められます。このため、請負契約では成果物に対する契約不適合責任が発生する場合があるわけです。

また、売買契約は商品そのものの品質や性能を保証することが求められますが、請負契約では完成した仕事の品質や性能が重要視されます。

 

■請負契約の契約不適合責任とは

請負契約の契約不適合責任とは、請負人が契約に基づいて提供する成果物が、契約内容と適合していない場合に発生する責任のことです。例えば、建築工事において、設計図通りに施工されていない場合や使用する材料が契約書で指定されたものと異なる場合が該当します。契約不適合責任は、成果物が契約通りの品質や性能を満たしていないときに、注文者が請負人に対して改善を求めることができるというものです。

契約不適合責任が重視されるのは、契約によって明確に定められた品質や性能が、注文者の期待を大きく左右するためです。もし契約不適合が発生した場合、注文者は請負人に対して修正を要求することができます。具体的には、成果物の修理や再製作を請求したり、場合によっては契約の解除や損害賠償を請求したりすることも可能です。

契約不適合責任があることで、注文者は安心して契約を結ぶことができ、成果物の品質が確保され、トラブルが発生した際にも適切な対応が取れます。

 

 

2. 請負契約のメリット

注文者及び請負人にとってのメリットについて解説します。

 

■注文者にとってのメリット

注文者にとっての請負契約のメリットは、成果物が明確に定義されているため、契約時に具体的な成果を期待できる点です。例えば、建設工事やソフトウェア開発など、完成品が求められるプロジェクトでは、請負契約を結ぶことで本当に期待通りのものができるだろうかという不安を軽減できます。

さらに、請負契約では成果物の完成が契約の終了条件となるため、途中での契約解除が難しい反面、注文者はプロジェクトの進行状況を管理しやすくなります。これにより、納期に間に合わせるための無駄なコストや時間を削減できるでしょう。また、完成品に対する責任が請負人にあるため、注文者は品質の問題発生時に請負人に対して補修や再作業を求めることができます。

 

■請負人にとってのメリット

請負人にとっての請負契約のメリットは、自由度の高さと成果報酬による収入の安定性です。請負契約では、請負人が仕事の進め方を自主的に決定できます。例えば、作業時間や場所を自分で調整できるため、効率的な働き方が可能です。

また、請負契約では成果物が完成した際に報酬が支払われるため、仕事が完了すれば確実に収入が得られる点も魅力です。請負人は自らのスキルや努力が直接収入に結びつくため、モチベーションを高めやすいでしょう。

さらに、請負契約では複数のプロジェクトを同時に受け持つことも可能です。収入源を多様化でき、経済的な安定を図ることができます。特に、専門的なスキルを持つ請負人にとっては、異なる分野の仕事に挑戦する機会も増え、キャリアの幅を広げることができるでしょう。

 

 

3. 請負契約のデメリット

注文者及び請負人にとってのデメリットについて解説します。

 

■注文者にとってのデメリット

注文者にとっての請負契約のデメリットは、成果物の品質や納期に対するリスクが高い点です。請負契約では、注文者が成果物の完成を待つ間、進捗状況を把握する手段が限られています。さらに、成果物が契約条件に合致しない場合、注文者は契約不適合責任に基づいて対応を求める必要がありますが、これには時間と手間がかかります。

これらのリスクを軽減するためには、契約内容を明確にし、進捗報告の頻度や内容を事前に取り決めておくことが重要です。これにより、注文者はプロジェクトの進行をより適切に管理し、納品時のトラブルを未然に防ぐことができます。

 

■請負人にとってのデメリット

請負人にとっての請負契約のデメリットは、成果物の完成義務があることです。請負契約では、請負人は注文者に対して特定の成果物を完成させる義務を負います。そのため、万が一納期に間に合わなかったり、品質が求められる基準に達しなかった場合には、契約不適合責任を問われるリスクがあります。

さらに、請負人は通常、自己の資金で材料や労働力を調達しなければなりません。これにより、資金繰りが厳しくなることがあるでしょう。また、成果物が完成するまで報酬が支払われないことが多いため、キャッシュフローに困る場合もあります。

また、請負契約は一般に成果物の完成を目的とするため、途中での契約解除が難しいという点もデメリットです。契約解除には通常、双方の合意や法的な理由が必要となります。

 

 

4. 請負契約に必要な項目

請負契約に必要な項目は以下の5つです。

  • 仕事の具体的な内容
  • 工期と納期
  • 報酬と支払い条件
  • 知的財産権の取り扱い
  • 再委託の条件

それぞれの項目について詳しく解説します。

 

■仕事の具体的な内容

仕事の具体的な内容を明確にすることは、請負契約において非常に重要です。なぜなら、請負契約は成果物を納品することを目的とした契約であり、その成果物の内容が曖昧だと、後々トラブルの原因となる恐れがあるからです。例えば、建設業であれば、建物の設計図や仕様書を詳細に記載する必要があります。

具体的な項目としては、作業の範囲や品質基準、使用する材料・技術、作業手順などを詳細に記載することが求められます。また、成果物の検査基準や検査の方法も明記しておくと、納品後のトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。これらの項目を契約書にしっかりと記載することで、双方の認識を一致させ、スムーズな業務遂行が可能です。

 

■工期と納期

工期とは、仕事を開始してから完了するまでの期間を指し、納期はその成果物を納める期限です。これらを明確にすることで、双方の期待を一致させ、トラブルを未然に防ぐことができます。

工期と納期を明確にするためには、具体的な日付を設定することが重要です。例えば、「2023年12月1日から2024年3月31日まで」といった具合に、開始日と終了日を明示します。また、納期については、特に厳守が求められる場合が多いため、余裕を持ったスケジュールを組むことが望ましいです。

さらに、工期や納期が遅れた場合の対応についても契約書に記載しておくことが重要です。例えば、遅延が発生した場合のペナルティや、納期を延長する条件などを明確にすることで、予期せぬトラブルに備えることができます。

 

■報酬と支払い条件

報酬とは、請負人が提供するサービスや成果物に対する代価です。請負契約書を作成する際には、報酬の金額や算出方法を明確に記載することが求められます。

支払い条件は、報酬がいつ、どのように支払われるかを定めるものです。一般的には、着手金や中間金、完了後の支払いなど、段階的に支払う方法が採用されます。これにより、請負人は安定した資金流入を確保でき、注文者も進捗に応じて支払いを管理しやすくなります。

また、銀行振込や手形、現金など、どの方法を用いるかを事前に合意しておくことが必要です。さらに、支払い遅延が発生した場合の対応を契約書に明記しておくことで、支払いの遅れを防止できます。

 

■知的財産権の取り扱い

知的財産権とは、著作権や特許権、商標権など、創作物に対する権利を指します。請負契約では、仕事の成果物に関する知的財産権をどちらが所有するのかを明確にする必要があります。例えば、ウェブサイトのデザインやソフトウェア開発の場合、成果物が注文者の所有となるのか、請負人が権利を保持するのかで、後々の利用や販売に大きな影響を及ぼします。

そのため、契約書には具体的にどのような権利がどちらに帰属するのかを明記することが重要です。さらに、契約終了後の権利の扱いや、第三者へのライセンス許諾の可否についても記載しておくと安心です。

 

■再委託の条件

再委託とは、請負人が契約した仕事の一部または全部を第三者に任せることを指します。請負契約では一般的に再委託が認められているため、再委託を禁止する際には、契約書に再委託の禁止条項を記載する必要があります。

再委託を許可する場合、どのような条件で再委託が可能かを具体的に設定することが重要です。例えば、再委託先の選定基準や品質管理の方法、納期の遵守などを明確にしておくことで、品質や納期の問題を未然に防ぐことができます。

また、再委託先が契約内容を守らない場合の責任の所在も明確にしておくことが重要です。請負人が再委託先の行動に対して責任を持つことが一般的ですが、これに関しても契約書でしっかりと定める必要があります。

 

 

5. 請負契約を結ぶ際の注意点

偽装請負の回避

偽装請負とは、実際には労働者派遣と同様の形態でありながら、請負契約を装っている状態を指します。このような状況は法律違反となり、罰則が科される可能性があります。

請負契約では請負人が独立して仕事を完成させる責任を持ち、指揮命令権は注文者にはありません。一方で、偽装請負では、実際には注文者が指示を出し、請負人がその指示に従って作業を行うことが多いです。

このような問題を避けるためには、契約書において業務の範囲や指示の有無、責任の所在を明確に記載することが欠かせません。また、日常的な業務の進行においても、請負人が自主的に判断して業務を遂行できる環境を整えることが求められます。

 

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■収入印紙の貼付

請負契約書には収入印紙が必要で、これを貼付しないと法的に無効となる場合があります。収入印紙は国税庁が定めた税金の一種で、契約書の種類や金額に応じて必要な額が異なります。例えば、請負契約書の契約金額が1万円以上の場合、200円以上の収入印紙が必要です。

収入印紙を貼るのを忘れてしまった場合でも、後から貼付して追徴金を支払うことで対応可能ですが、追徴金は本来の印紙税の3倍となるため、貼り忘れがないよう注意するようにしましょう。

 

 

6. まとめ

今回は、請負契約の概要や委任契約・派遣契約との違い、締結するメリット・デメリットについて解説しました。

請負契約は特定の成果物を提供することを約束する契約であり、受注者が結果に対して責任を持ちます。発注者が請負契約のメリットを最大限に活用するためには、その特性を理解することが重要です。

 

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