サプライヤーエンゲージメントとは?注目されている背景や強化がもたらす企業への効果を解説

サプライヤーエンゲージメントは、企業が持続可能なサプライチェーンの構築を目指す上で重要な役割を果たします。サプライヤーとの良好な関係を築くことで、サプライチェーン全体での温室効果ガス(GHG)排出量の正確な把握と削減を実現でき、世界中で強化されている環境規制に対応することが可能です。

本記事では、サプライヤーエンゲージメントの概要や注目されている背景、サプライヤーエンゲージメント強化がもたらす企業への効果について詳しく解説します。

1. サプライヤーエンゲージメントとは

サプライヤーエンゲージメントとは、サプライヤーとの関係を強化し、温室効果ガス(GHG)排出量の削減などの目標達成に向けて協力する取り組みです。環境や社会、ガバナンス(ESG)に関する取り組みが求められる現代において、サプライヤーエンゲージメントの重要性はますます高まっています。企業がサプライヤーと緊密に連携し、共通の目標に向かって進むことで、持続可能な成長を実現することが可能です。

サプライヤーエンゲージメントが重要視される理由のひとつに、サプライチェーン全体での協働が企業の競争力を高める点があります。サプライヤーと良好な関係を築くことで、リスクを分散し、安定した供給体制を確保することができるわけです。また、サステナビリティの観点からも、企業は環境への配慮や社会的責任を果たすことが求められており、サプライヤーエンゲージメントの強化が企業価値の向上につながります。

 

■サプライチェーン全体における協働の必要性

サプライチェーンとは、製品が消費者に届くまでの一連の流れを指し、原材料の調達から製造、流通、販売まで多くのサプライヤーが関与します。サプライチェーンを効果的に管理するためには、サプライヤーとの協働が欠かせません。例えば、自然災害や政治的不安定などの外部要因が発生した場合、一部のサプライヤーが機能しなくなり、サプライチェーン全体に影響することもあるでしょう。このようなリスクに対処するためには、サプライヤーとの関係を強化する必要があります。

また、環境問題や社会的責任に対する意識が高まる中、サステナビリティの観点からもサプライヤーとの協働は重要です。サプライヤーと共に環境負荷を減らす取り組みを進めることで、サプライチェーン全体としての持続可能性が向上します。

 

■サプライヤーエンゲージメントが注目されている背景

サプライヤーエンゲージメントが注目されているのは、環境問題や社会的責任を果たす取り組みが求められているからです。

サプライチェーン全体で温室効果ガスの排出量削減を目指す際には、直接的な排出だけでなく、サプライヤーからの間接的な排出も考慮する必要があります。

また、消費者や投資家は企業のサステナビリティへの取り組みを評価し、その結果が購買や投資の判断に影響を与えます。社会的な信頼を得るためには、サプライヤーと連携し、持続可能なビジネスモデルを構築することが重要です。

 

 

2. 企業がサプライヤーエンゲージメントを強化すべき理由

企業がサプライヤーエンゲージメントを強化すべき理由は以下の3つです。

  • 脱炭素や環境負荷低減への対応
  • 人権尊重と労働環境の改善
  • 透明性の確保とコンプライアンス遵守

それぞれの理由について詳しく解説します。

 

■脱炭素や環境負荷低減への対応

企業がサプライヤーエンゲージメントを強化すべき1つ目の理由は、脱炭素や環境負荷低減への対応が求められているからです。

企業が環境に配慮した活動を進めるためには、サプライチェーン全体での協力が欠かせません。例えば、サプライヤーと連携して製品の生産過程で排出する二酸化炭素を削減することで、サプライチェーン全体の環境負荷を軽減することができます。

環境負荷の低減は、企業の社会的責任を果たすだけでなく、消費者の信頼を得るためにも重要です。消費者は環境に優しい製品やサービスを求める傾向を強めており、環境負荷の低減の取り組みが企業の競争力を高める要因となります。

 

■人権尊重と労働環境の改善

企業がサプライヤーエンゲージメントを強化すべき2つ目の理由は、人権尊重と労働環境の改善が求められているからです。

サプライチェーン全体で人権の尊重と労働環境の改善を実現することは、企業の社会的責任(CSR)の一環として、投資家や消費者からの信頼を獲得する要素となっています。

また、人権尊重と労働環境の改善は単なる倫理的責任にとどまらず、ビジネスの持続可能性を高めることが可能です。人権尊重を遵守することで、海外市場への進出がスムーズになり、ビジネスチャンスが広がるでしょう。

 

■透明性の確保とコンプライアンス遵守

企業がサプライヤーエンゲージメントを強化すべき3つ目の理由は、ガバナンスの観点から透明性の確保とコンプライアンス遵守が求められているからです。

企業がサプライチェーンにおいて透明性を持つことは、消費者や投資家からの信頼を得る重要な要素となります。透明性を確保することで、サプライヤーがどのような方法で製品を生産しているかを把握し、必要な改善を促すことが可能です。

また、コンプライアンスの遵守は、法令違反によるリスクを軽減するために欠かせません。特に、国際的な取引を行う企業にとって、各国の法規制への対応は重要な課題です。サプライヤーエンゲージメントを通じて、サプライヤーに対して法令遵守の重要性を伝え、適切な監査を行うことができます。

 

 

3. サプライヤーエンゲージメント強化がもたらすメリット

サプライヤーエンゲージメント強化がもたらすメリットは以下の3つです。

  • 法規制の強化に対する迅速な適応とリスク管理
  • ブランド価値の向上と市場競争力の強化
  • 新たなビジネス機会の創出とイノベーション促進

それぞれのメリットについて詳しく解説します。

 

■法規制の強化に対する迅速な適応とリスク管理

サプライヤーエンゲージメント強化がもたらす1つ目のメリットは、法規制の強化に対する迅速な適応とリスク管理です。

企業がコンプライアンスを遵守するためには、サプライチェーン全体で法律や規制に適応する必要があります。サプライヤーと緊密に連携することで、法律や規制の変化に迅速に対応することが可能です。

また、リスク管理の観点からも、サプライヤーエンゲージメントは欠かせません。サプライヤーの状況を把握することで、供給の途絶や品質問題などのリスクを事前に察知し、適切な対策を講じることができます。例えば、サプライヤーの財務状況や生産能力について定期的に情報を共有することで、予期しないトラブルを未然に防ぐことが可能です。

 

■ブランド価値の向上と市場競争力の強化

サプライヤーエンゲージメント強化がもたらす2つ目のメリットは、ブランド価値の向上と市場競争力の強化です。

企業がサプライヤーとの関係を深め、共に成長する姿勢を示すことで、消費者や取引先からの信頼を得ることができ、結果として市場での競争力が強まります。企業の持続可能性や社会的責任を重視する消費者が増えている現代では、サプライヤーとの協力による環境や社会への貢献が競合他社との差別化になり、市場シェアの拡大につながるわけです。

 

■新たなビジネス機会の創出とイノベーション促進

サプライヤーエンゲージメント強化がもたらす3つ目のメリットは、新たなビジネス機会の創出とイノベーション促進です。

サプライヤーが持つ専門知識や技術を活用することで、新製品の開発やサービスの向上が可能になり、市場の変化に迅速に対応できるようになります。

また、定期的なミーティングやワークショップを通じて、サプライヤーとアイディアを交換し、共通の目標に向けて協力することで、双方のニーズや課題を共有することが可能です。共同での問題解決や新しいアイディアの創出が促進され、新たなビジネスチャンスを発見し、イノベーションを加速させることができるでしょう。

 

 

4. サプライヤーエンゲージメントを強化する方法

サプライヤーエンゲージメントを強化する方法は以下の3つです。

  • バイヤーの意識改革と適切なコミュニケーション
  • システムを活用したデータ共有と分析レポートの活用
  • サステナビリティ専門家と調達チームの連携強化

それぞれの方法について詳しく解説します。

 

■バイヤーの意識改革と適切なコミュニケーション

サプライヤーエンゲージメントを強化する1つ目の方法は、バイヤーの意識改革と適切なコミュニケーションです。

バイヤーがサプライヤーの視点を理解し、共に成長を目指す姿勢を持つことで、良好な信頼関係を築くことができます。サプライヤーとの関係性を単なる取引と考えるのではなく、長期的なパートナーシップとして捉えることが重要です。

また、定期的なミーティングや情報共有を行い、互いの期待や目標を明確にすることで、誤解や摩擦を未然に防ぎ、協力体制を強化できます。

 

■システムを活用したデータ共有と分析レポートの活用

サプライヤーエンゲージメントを強化する2つ目の方法は、システムを活用したデータ共有と分析レポートの活用です。

サプライヤーの生産状況や品質管理データをリアルタイムで共有することで、問題が発生した際でも迅速に対応することができます。また、過去のデータをもとに需要予測を行い、在庫管理を最適化することで、無駄なコストを削減し、利益率を向上させることも可能です。

問題点としては、システム導入に伴う初期投資や運用コストが挙げられます。しかし、これらのコストは、長期的に見れば効率化によるコスト削減やリスク管理の強化で十分に回収可能です。クラウドベースのシステムを活用すれば、初期投資を抑えつつ柔軟なスケーラビリティを確保することができるでしょう。

 

■サステナビリティ専門家と調達チームの連携強化

サプライヤーエンゲージメントを強化する3つ目の方法は、サステナビリティ専門家と調達チームの連携強化です。

環境や社会的な持続可能性に関する最新の知識とトレンドを把握している専門家と連携することで、持続可能な製品やサービスの選定において、企業の調達チームがより適切な判断を下せるようになります。

また、サステナビリティ専門家が提供する情報をもとに、調達チームがサプライヤーに対して具体的な改善要求を行うことで、サプライチェーン全体の持続可能性を向上させることが可能です。

 

 

5. CDPによるサプライヤーエンゲージメント評価(SEA)の仕組み

サプライヤーエンゲージメント評価とは、企業がサプライヤーと協力してサプライチェーン全体の温室効果ガス排出削減に取り組んでいるかを、国際的な環境評価団体である「CDP」がA~Fのスコアで評価する制度です。

企業が排出する温室効果の大部分は直接の排出(Scope 1・2)ではなくサプライチェーン全体から排出される間接的な排出(Scope 3)が占めているため、サプライヤーと協働して排出削減を進めることが重視されています。

 

【参考】

2024 サプライヤーエンゲージメント評価「CDP」

 

■評価基準

CDPによるサプライヤーエンゲージメント評価は、CDP気候変動質問書内の、以下の5つの評価基準にもとづいて行われます。

  • リスク管理プロセス
  • ガバナンスと事業戦略
  • サプライヤーエンゲージメント
  • Scope3排出量算定
  • ターゲット

【参考】

2024 CDP Supplier Engagement Assessment Introduction「CDP」

 

■サプライヤー・エンゲージメント・リーダーに選ばれる意義

サプライヤー・エンゲージメント・リーダーとは、温室効果ガス削減などのサプライチェーン全体の気候変動対策を実施し、CDPが実施するサプライヤーエンゲージメント評価で、最高評価の「A」を獲得した企業です。

サプライヤー・エンゲージメント・リーダーに選ばれることで、持続可能なサプライチェーンの構築に成功していると評価され、社会的な信頼が高まります。

また、投資家に対しても企業が持続可能な経営を実践していることを示す証拠となり、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資の観点から注目される要因となるでしょう。

 

 

6. まとめ

今回は、サプライヤーエンゲージメントの概要や注目されている背景、サプライヤーエンゲージメント強化がもたらす企業への効果について解説しました。

サプライヤーエンゲージメントを強化することで、持続可能なサプライチェーンの構築を実現し、単体での削減が難しいサプライチェーン全体の排出量を削減することができます。

本記事で解説したサプライヤーエンゲージメント強化の効果やサプライヤーエンゲージメントを効果的に進める手順を参考に、サプライヤーとの取り組みを見直してみましょう。

 

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