産業廃棄物・一般廃棄物の再委託が禁止されている理由や例外を解説

産業廃棄物の収集・運搬・処分を再委託することは廃棄物処理法で原則として禁止されており、一般廃棄物の収集・運搬・処分を再委託することは例外なく禁止です。産業廃棄物の再委託禁止に違反した場合、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、または両方が科されます。

なお、無許可業者に委託した場合は、より重い罰則の対象となる可能性があります。
本記事では、産業廃棄物の再委託が禁止されている理由や例外的に認められるケースについて詳しく解説します。

1. 産業廃棄物処理を委託する際の基本ルール

産業廃棄物を委託する際には、排出事業者としての責任を果たし、適正な処理を確保することが求められます。適切な業者選びから契約内容の確認まで、法令に基づいた手続きを踏むことが重要です。不適切な委託は、環境への影響や法的な罰則を招く可能性があるため、しっかりとした知識と準備が必要です。

産業廃棄物はその性質や量が多様であるため、専門的な知識を持った業者に委託することが求められます。また、委託に際しては、排出事業者が責任を持って処理の適正性を確認し、法令を遵守することが求められます。

さらに、産業廃棄物の委託には、収集運搬業者と処分業者の選定が不可欠です。これらの業者にはそれぞれ許可が必要であり、適正な契約を結ぶことが法律で義務付けられています。

 

■排出事業者責任に基づく適正処理の原則

事業者は、事業で排出した産業廃棄物処理の最終的な責任を負います。(廃棄物処理法第3条)

 

事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。


引用:廃棄物処理法第3条

 

産業廃棄物処理を委託する場合でも、廃棄物が適切に処理されるよう、委託先の業者を慎重に選ぶ必要があります。許可がない業者に委託すると、不法投棄などのリスクが高まり、最終的に排出事業者自身が罰則を受けるかもしれません。

産業廃棄物の収集運搬業者や処分業者と契約を結ぶ際には、業者がどのように廃棄物を処理するのか、具体的な処理方法や処理施設の情報を確認することが重要です。委託後も廃棄物が適正に処理されているかを定期的に確認し、必要に応じて業者との契約を見直すことが求められます。

 

 

2. 産業廃棄物の処理委託契約における原則

産業廃棄物の処理委託契約における原則は以下の5つです。

  • 収集運搬業者と処分業者の「二者契約」
  • 業務委託契約は必ず「書面」で締結する
  • 法律で定められた「必要項目」を網羅する
  • 業者の「許可証等の写し」を添付する
  • 契約終了後から「5年間保存」する

それぞれの原則について詳しく解説します。

 

■収集運搬業者と処分業者の「二者契約」

排出事業者が廃棄物を委託する際には、収集運搬業者と処分業者それぞれに対して個別に契約を結ぶ必要があります。

二者契約を行う理由は、廃棄物が不適切に処理された場合の責任を明確にするためです。もし1つの業者に全てを任せると、どの段階で問題が発生したのか特定しにくくなります。収集運搬業者と処分業者にそれぞれ契約を分けることで、各業者が自分の役割に責任を持ち、万が一問題が発生した場合には迅速に対応することが可能です。

 

■業務委託契約は「書面」で締結する

業務委託契約は、口頭ではなく書面で締結することが求められています。

書面契約によって委託元と委託先の双方が合意した内容を確認しやすくなるだけでなく、書面での契約は法的な証拠としての役割を果たし、万が一のトラブルを未然に防ぐことが可能です。

 

■法律で定められた「必要項目」を網羅する

処理委託契約書には、委託する産業廃棄物の種類や量、処理の方法、処理の場所を明確に記載する必要があります。記載すべき事項をしっかりと理解し、漏れなく記載することが重要です。

 

■契約書に業者の「許可証等の写し」を添付する

契約書に業者の許可証等の写しが添付されていることで、委託先の業者が法令に基づいた適切な許可を有していることが確認でき、その業者がどのような廃棄物をどの範囲で取り扱うことができるのかを把握できます。

 

■契約終了後から「5年間保存」する

産業廃棄物の処理を委託する排出事業者には、廃棄物処理法に基づき、契約書やマニフェスト(産業廃棄物管理票)、許可証の写しなどの関連書類を、契約終了の日から5年間保存する義務があります。

 

令第六条の二第五号(令第六条の十二第四号の規定によりその例によることとされる場合を含む。)の環境省令で定める期間は、五年とする。


引用:廃棄物処理法施行規則第8条の4の3

 

 

3. 産業廃棄物の再委託は原則として禁止

産業廃棄物の収集・運搬・処分を再委託することは、廃棄物処理法第14条16項で禁止されています。ただし、政令で定める再委託基準を満たしている場合、例外的に再委託することが可能です。

 

産業廃棄物収集運搬業者は、産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を、産業廃棄物処分業者は、産業廃棄物の処分を、それぞれ他人に委託してはならない。ただし、事業者から委託を受けた産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を政令で定める基準に従つて委託する場合その他環境省令で定める場合は、この限りでない。


引用:廃棄物処理法第14条16項

 

この禁止措置の背景には、過去に不適切な廃棄物処理が環境問題を引き起こした事例が多く存在することがあります。再委託が許可されると、責任の所在が曖昧になり、最終的な処理が適正に行われない可能性があります。これにより、廃棄物が不法投棄されるなどの問題が発生し、環境や地域社会に深刻な影響を及ぼす恐れがあります。

 

例えば、産業廃棄物を処理する業者が別の業者にその処理を再委託した場合、最終的に廃棄物がどのように処理されたのかを確認するのが難しくなります。これが原因で、過去には不法投棄が発覚し、社会問題となったケースも少なくありません。そのため、廃棄物処理法で産業廃棄物の再委託が禁止されているわけです。

 

■一般廃棄物の再委託は例外なく禁止

一般廃棄物の再委託は、例外なく禁止されています。(廃棄物処理法第7条14項)産業廃棄物の再委託のように、基準を満たすことで例外的に再委託が認められるわけではありません。

 

一般廃棄物収集運搬業者は、一般廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を、一般廃棄物処分業者は、一般廃棄物の処分を、それぞれ他人に委託してはならない。


引用:廃棄物処理法第7条14項

 

■産業廃棄物の再委託違反の罰則

産業廃棄物の再委託違反の罰則は、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、または両方です。(廃棄物処理法第26条)

 

次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 第六条の二第七項、第七条第十四項、第十二条第六項、第十二条の二第六項、第十四条第十六項又は第十四条の四第十六項の規定に違反して、一般廃棄物又は産業廃棄物の処理を他人に委託した者


引用:廃棄物処理法第26条

 

一般廃棄物の再委託違反の場合も、同様に3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、または両方が科されます。

 

 

4. 産業廃棄物の再委託が禁止されている理由

産業廃棄物の再委託が禁止されている理由は以下の2つです。

  • 産業廃棄物の許可制度の趣旨に反する
  • 不適切な処理や不法投棄につながる

それぞれの理由について詳しく解説します。

 

■産業廃棄物の許可制度の趣旨に反する

産業廃棄物の再委託が禁止されている1つ目の理由は、産業廃棄物の許可制度の趣旨に反するからです。

廃棄物処理法では、事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならないとされています。(廃棄物処理法第3条1項)

 

事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。


引用:廃棄物処理法第3条1項

 

産業廃棄物の処理に関する許可制度は、廃棄物が不適切に処理されることを防ぎ、環境保護と公共の安全を確保することを目的としています。

再委託が行われると許可を受けた業者が実際の処理を他の業者に任せることになり、許可制度の趣旨が形骸化してしまいます。つまり、再委託により、許可を受けていない業者が関与する可能性が高まり、結果として廃棄物の不適切な処理や不法投棄のリスクが増加するわけです。

 

■不適切な処理や不法投棄につながる

産業廃棄物の再委託が禁止されている2つ目の理由は、不適切な処理や不法投棄につながるからです。

再委託先が廃棄物の適正な処理を行うための十分な設備や知識を持たない場合、廃棄物が適切に管理されず、最終的に不法投棄されるリスクが高まります。

さらに、再委託の過程で廃棄物の追跡が難しくなり、責任の所在が不明確になることも問題です。廃棄物がどこでどのように処理されているのかが不透明になると、環境への悪影響が増大します。また、不法投棄が発生すると、環境汚染が進むだけでなく、行政や地域住民に問題解決のための多大な労力と費用がかかることになります。

このような事態を防ぐために、廃棄物処理法は再委託を厳しく制限しているわけです。

 

 

5. 産業廃棄物の再委託が例外的に認められる基準

産業廃棄物の再委託は原則として禁止されていますが、再委託基準を満たすことで例外的に認められる場合があります。

 

1 あらかじめ、排出事業者から委託を受けた者(受託者)は排出事業者に対して、再委託を受ける者(再受託者)の氏名・名称、及びその再委託が委託基準に適合していることを明らかにすること

2 あらかじめ排出事業者の書面による承諾が必要であること

3 その書面には次の事項を含まなければならないこと

(1)委託した産業廃棄物の種類及び数量

(2)受託者の氏名または名称、住所及び許可番号

(3)承諾の年月日

(4)再受託者の氏名または名称、住所及び許可番号

4 受託者は再受託者に対し委託契約書記載事項を記載した文書を交付すること

5 その他、委託基準に適合していること(受託者・再受託者間の書面契約が必要)

6 排出事業者は、承諾書の写しを承諾日から5年間保存しなければならないこと

(以上、令第6条の2、令第6条の 12、規則第8条の4の4、規則第 10 条の6の3)


引用:産業廃棄物の処理委託契約に関するQ&A – 東京都環境局

 

委託先が適切な許可を持たない業者に再委託すると、委託先だけでなく排出事業者自身が罰則を受ける可能性があります。このため、委託先が再委託を行う際には、再委託先が産業廃棄物の収集運搬や処分に関する必要な許可を取得しているかを事前に確認することが不可欠です。

具体的には、再委託先が「産業廃棄物収集運搬業許可」や「産業廃棄物処分業許可」を取得しているかを確認します。これらの許可は都道府県や政令市単位で発行されるため、再委託先の事業所が所在する地域の許可を持っているかを確認する必要があります。

許可の確認は、再委託先から許可証の写しをもらう、あるいは自治体のWebサイトで確認することが一般的です。さらに、その業者が過去に法令違反をしていないか、信頼できる業者であるかを調査することも重要です。

 

 

6. 産業廃棄物の収集・運搬・処分事業者が知っておくべき再委託発生時の対応法

■無断で再委託が行われていたことが発覚した場合の対処

産業廃棄物の無断再委託が発覚した場合、まずは迅速に事実確認を行いましょう。再委託が法律違反であることを認識し、関係者とのコミュニケーションを通じて、どの段階で問題が発生したのかを特定することが重要です。

 

次に、再委託を行った業者との契約内容を再確認してください。契約書やマニフェストに不備がある場合、法的な責任が生じる可能性があります。問題が確認された場合には、速やかに行政機関に報告し、必要な指導や指示を仰ぎましょう。また、再発防止策として、業者選定時に許可証の確認を徹底し、信頼性の高い業者と契約を結ぶことが重要です。

さらに、社内での情報共有を強化し、従業員に対する教育を行うことで、同様の問題が再発しないように努めましょう。

 

■再委託を前提とした契約のリスクと安全な業者選び

産業廃棄物の再委託を前提とした契約を結ぶ際には、法律や規制を理解し、適切な業者を選定することが重要です。再委託先が適切な許可を持っていない場合、法令違反となり、排出事業者自身も罰則を受ける可能性があります。

安全な業者を選ぶためには、業者が適切な許可を持っているか確認することが重要です。許可証を提示してもらい、有効期限や内容をしっかり確認しましょう。また、過去の実績や取引先からの評価を参考にすることも大切です。

 

 

7. まとめ

今回は、産業廃棄物の再委託が禁止されている理由や例外的に認められるケースについて解説しました。

産業廃棄物の再委託が禁止されているのは、産業廃棄物の許可制度の趣旨に反し、不適切な処理や不法投棄につながるからです。産業廃棄物の処理を依頼する際には、信頼できる業者を選び、適正な処理が行われているかを確認するようにしましょう。

 

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