【Hinemos】Hinemos 5.0にHAオプションをインストールする

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Hinemos HAオプションは、2台のHinemosマネージャをクラスタ化し、Hinemosの可用性を高めるためのオプション製品です。仮に、運用中に片方のHinemosマネージャサーバに物理的な故障が発生したとしても、HAオプションを適用していれば、もう片方で監視やジョブを引き続き実行することが可能となります。

今回は、Hinemos 5.0へ実際にHAオプションをインストールする様子をご紹介します。

 1. 事前準備

Hinemos HAオプションをインストールするためには、事前に、2台のHinemosマネージャが必要となります。それぞれ、マニュアルにしたがって個別にインストールしておきます。私の環境では、以下の2台がHinemosマネージャです。

  • Hinemosマネージャサーバ1
    •  OS: CentOS 7.2 (64bit)
    •  IPアドレス: 192.168.11.107 (NIC名: eno16777736)
  •  Hinemosマネージャサーバ2
    •  OS: CentOS 7.2 (64bit)
    •  IPアドレス: 192.168.11.120 (NIC名: eno16777736)

両サーバのIPアドレスは、Hinemos HAオプションではSIP(固定IP)と呼びます。その呼び名のとおり、IPアドレスはDHCPではなくスタティックに割り当てておく必要があります。

また両サーバとも、追加で以下のRPMパッケージが必要ですので、ここでインストールしておきます。

  •  wget
  •  ipmitool

以下は、上記パッケージを実際にインストールしている様子です。

 

 2. HAオプションのインストール

それでは、いよいよHAオプションをインストールします。まず、Hinemosマネージャサービスが起動している場合は、両サーバとも事前に停止してください。

 

次に、インストーラーパッケージをサーバ上へ配置して、両サーバ上でインストールを行います。ここでは、順序はどちらが先でも構いません。

 

パッケージの内容はそれほど多くないため、通常は、ほんの2~3秒でインストールが完了するはずです。

 3. HAオプションの初期セットアップ

続いて、HAオプションの初期設定を行います。なお、ここでは必要最小限の設定のみに留めていますのでご了承ください。

まず、Hinemosマネージャサーバ1から、初期設定のためのスクリプトを実行します(実際には、Hinemosマネージャサーバ2が先でも構いません)。

 

最初に、自身(Hinemosマネージャサーバ1)のSIPを入力します。

 

次に、自身(Hinemosマネージャサーバ1)のrootユーザのパスワードを入力します。これは、特定の条件下で両サーバがスプリットブレイン状態になるのを防ぐために、HA構成の相対サーバ(今回の場合はHinemosマネージャサーバ2)から、SSH経由でrootユーザがログインするのに使用されます。

 

続いて、クラスタメンバーのIPアドレスとして、Hinemosマネージャサーバ1および2のIPアドレスを、カンマで連結して入力します。

 

自身(Hinemosマネージャサーバ1)から外部ネットワークへ、pingの疎通確認を行う先のIPアドレスを、1つ以上入力します(2つ以上の場合はカンマで連結します)。疎通確認先は、Hinemosマネージャからのpingに対して常時応答可能である必要があります。通常は、デフォルトゲートウェイやスイッチのIPアドレスを指定します。

 

クラスタに新たに割り当てる仮想IP(IPエイリアス)およびネットマスク、並びにNIC名を入力します。このIPアドレスはFIP(フローティングIP)と呼ばれ、HinemosエージェントやHinemosクライアントは、このIPアドレスに対して通信を行います。ということで、FIPは既存のIPアドレスと被らないようにする必要があります。

 

入力内容の再確認を行い、問題なければ”Y”を入力します。

 

以上で、Hinemosマネージャサーバ1に対する初期設定が完了しました。続いて、Hinemosマネージャサーバ2についても、同じ作業を行います。

 

なお注意点として、FIPとネットマスクは、Hinemosマネージャサーバ1で設定したものと同じ値を入力する必要があります。

 

以上で、HAオプションの初期設定が完了しました。

4. 管理対象ノードのセットアップ

次に、監視対象ノードのHinemosエージェントとrsyslogの接続先IPアドレスを、HA構成に合わせて変更します。

なお、今回の私の環境では、HinemosエージェントはHinemosマネージャと同じサーバに同居しているため、Hinemosエージェントのみのサーバの場合と、設定方法が若干異なっています。あらかじめご了承ください。

それでは、まずHinemosエージェントの設定方法からご説明します。

 4-1. Hinemosエージェントの接続先IPアドレス変更

Hinemosエージェントの接続先HinemosマネージャのIPアドレスは、以下のファイルで設定されています。

Hinemosエージェントサービスを停止した後、上記のファイルを開きます。

ファイルの末尾の方に、以下の設定行がありますので、IPアドレスをHinemosマネージャのFIPに変更します。ポート番号やパス等はそのままにします。

変更したファイルを上書き保存したら、Hinemosエージェントサービスを起動します(この時点では、Hinemosマネージャは起動していませんが、後でHinemosマネージャが起動した際に接続されますので、問題ありません)。

これを、全てのHinemosエージェントに対して行います。

以上で、Hinemosエージェントの接続先IPアドレスの変更が完了しました。

 4-2. rsyslogの接続先IPアドレス変更

rsyslogが、Hinemosマネージャサーバ1と2の両方へログを転送するよう、設定を行います。なお、今回の私の環境では、Hinemosマネージャサーバ1と2しかないため、各サーバ上の以下の設定ファイルを編集します。

その後、rsyslogサービスを再起動します(両サーバとも行います)。

以上で、rsyslogの接続先IPアドレスの変更が完了しました。

あと、監視対象ノードがSNMPトラップを送信する場合は、そのトラップの送信先を、Hinemosマネージャサーバ1および2のSIPにするよう、設定を変更する必要があります。今回は必要最小限ということで、SNMPトラップの設定変更は省略しておりますので、ご了承ください。

 5. Hinemosマネージャサービスの起動

いよいよ、Hinemosマネージャサービスを起動します。
なお、ここからは各Hinemosマネージャサーバを、

  •  Hinemosマネージャサーバ1 => Masterサーバ(現用系サーバ)
  •  Hinemosマネージャサーバ2 => Standbyサーバ(待機系サーバ)

と呼びます。MasterサーバとStandbyサーバは、フェイルオーバーが発生するたびに入れ替わりますので、ご注意ください。

 5-1. MasterサーバのHinemosマネージャサービス起動

Masterサーバ(これまでのHinemosマネージャサーバ1)上で、Hinemosマネージャの起動スクリプト(hinemos_ha_start.sh)を実行します。

これで起動完了ですが、念のため、クラスタの状態を確認します。以下のコマンドを実行します。

[Instances]の項目を見ると、Masterサーバのみが起動していることが分かります。

 5-2. StandbyサーバのHinemosマネージャサービス起動

Masterサーバ側でHinemosマネージャサービスが起動したことが確認できたら、続いて、Standbyサーバ(これまでのHinemosマネージャサーバ2)上で、同じスクリプトを実行します。

これで起動完了ですが、念のため、クラスタの状態を確認します。以下のコマンドを実行します。

[Instances]の項目を見ると、MasterサーバとStandbyサーバの両方が起動しており、こちらがStandbyサーバであることが分かります。ここで、もう一度Masterサーバの方も確認してみると、

となっています。[Instances]の項目を見ると、Masterサーバとして起動していることが分かります。以上で、Hinemosマネージャサービスの起動が完了しました。

 6. Hinemosクライアントからの接続

それでは、HinemosクライアントからHinemosマネージャへ接続してみます。通常どおりHinemosクライアントを起動しますが、接続先のIPアドレスには、クラスタのFIPを指定します。

[ログイン]ダイアログ

[ログイン]ダイアログ

パスワード入力後、[ログイン]ボタンをクリックしてログインします。

ログイン成功

ログイン成功

Hinemosの画面

Hinemosの画面

無事、ログインすることができました。

 7. Hinemosマネージャサービスの停止

Hinemosマネージャへログインするところまでは確認できましたので、ここでHinemosマネージャサービスを停止したいと思います。

なお、Hinemosマネージャサービスを停止するには、Standbyサーバ側->Masterサーバ側の順に停止を行う必要があります。先にMasterサーバ側を停止してしまうと、フェイルオーバーが発生してしまうためです。

それでは、実際に停止してみます。まずはStandbyサーバから。

 

ここで、念のためMasterサーバ側でクラスタの状態を確認します。

[Instances]からStandbyサーバが消え、Masterサーバのみが起動している状態です。続いてMasterサーバの方も停止します。

停止が完了しました。ちなみに、この状態でクラスタの状態を確認しようとすると、

となります(Hinemosマネージャサービスが停止している状態では、このファイル自体が存在しないためです)。


以上で、Hinemos HAオプションのインストールは完了です。次回は、擬似的に障害を起こしてフェイルオーバーを発生させ、その間の監視やジョブがどう動くか検証してみたいと思います。

なお、Hinemos HAオプションは有償オプションとなっており、Hinemosパートナー企業から購入することが可能です。弊社でも取り扱っておりますので、興味のある方は弊社営業窓口へお問い合わせください。

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